松尾鉱業鉄道ED25形電気機関車

松尾鉱業鉄道ED25形電気機関車

松尾鉱業鉄道ED25形電気機関車は、1951年に松尾鉱業鉄道で導入された直流用電気機関車です。この機関車は、東京芝浦電気（現在の東芝）によって製造され、当時の鉄道輸送において重要な役割を果たしました。ED25形は、ED251とED252の2両が製造され、どちらもデザインや性能において類似点が見られます。

構造とデザイン

この機関車の特徴は、「凸型」の車体デザインです。中央に小型の運転室があり、その前後には主要機器が内蔵されたボンネットが配置されています。前面は乗務員扉を含む4枚の窓で構成され、鉄道車両としての視界を大いに確保しています。此外、台枠には手すりやステップが設置され、運転士が乗降しやすい仕様となっています。前照灯は運転室に設けられ、パンタグラフは運転室の上部に取り付けられています。

ED25形の塗色は、現役当時において湘南電車に近いデザインで、窓周りやボンネット上部は明るい黄色が使われていました。一方で、屋根と下回りは濃緑色から青色に変化し、ボンネット前部から側面にかけては白帯が施されていました。これらのデザインは、運行中の美観を保ちながらも機能性を向上させるための工夫が見られます。

主要機器と性能

松尾鉱業鉄道ED25形は、先に製造された東濃鉄道のED1000形電気機関車と多くの点で共通する仕様を持っています。特に、東芝製のTT-51台車を備えており、その高い性能が求められる場面でも活躍していました。

運用状況

ED25形は、1951年から松尾鉱業鉄道が全線を廃止するまでの間、主に構内の入れ替え用として使用されていました。貨物輸送が最も盛んだった時期には、本線の貨物列車の牽引を行うこともありました。この機関車は、輸送能力の補完を目的としてED50形の代わりを務めており、その存在は運営にとって欠かせないものでした。

1972年10月に松尾鉱業鉄道が廃止された後、ED252はそのまま解体されましたが、ED251に関しては解体の予定から引き取り手が現れ、盛岡市内の廃棄物処理業者に移されました。個人所有を経て、1993年には八幡平市にある松尾村歴史民俗資料館へ移設され、現在は静態保存されています。保存状態は良好ですが、塗色は現役時代とは異なり、朱色一色に塗り替えられています。

参考文献

松尾鉱業鉄道ED25形電気機関車に関する情報は、以下の資料を参考にしています。

• - 『東芝レビュー』第7巻第4号、東京芝浦電気、1952年。

ED25形は、その独特なデザインと歴史的重要性から、鉄道ファンや研究者にとって興味深い存在であり続けています。同形の機関車は現存しておらず、当機は貴重な貴族的存在であり、松尾鉱業鉄道の歴史を今に伝えています。

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