松山 (宇陀市)

宇陀松山：歴史と文化が息づく町並み

松山は、奈良県宇陀市大宇陀地域に位置する、かつての宇陀郡松山町を中心とした広域地名です。宇陀松山とも呼ばれ、その歴史的な価値から、一部が国の重要伝統的建造物群保存地区（重伝建）に選定されています。この記事では、松山の概要から重伝建地区内の見どころ、そして地区外の観光スポットまで、その魅力を余すところなくご紹介します。

松山の歴史

松山の地は、古代には宮廷の狩猟場である阿騎野として知られていました。現在の街区は、戦国時代に国人領主の秋山氏が築いた秋山城の城下町を起源としています。豊臣秀長配下の大名によって町並みの原型が形成され、阿貴町から松山町へと地名が改められました。

関ヶ原の戦い後、織田信雄による支配を経て、1694年からは江戸幕府の天領となり、商業地として発展しました。明治時代以降も宇陀郡役所や裁判所が置かれるなど、地域の中心としての役割を果たし、昭和40年代まで賑わいを見せていました。

宇陀松山重要伝統的建造物群保存地区

中心街には、近世初頭の敷地割や江戸時代から明治時代の商家が数多く残っており、その景観が評価され、「宇陀松山伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

地区データ

面積: 約17.0ヘクタール
区域: 宇陀市大宇陀万六、大宇陀出新など
条例制定日: 平成16年12月17日
重伝建選定告示日: 平成18年7月5日
選定基準: 伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの
種別: 商町屋
特定された伝統的建造物: 建築物128件、工作物88件
特定された環境物件: 水路、樹木など28件

主な建造物・旧跡（重伝建地区内）

松山西口関門（黒門）: 松山城下町の旧大手門。国の史跡。
森野旧薬園: 日本最古の民間の薬草園。国の史跡。
植田家住宅: 旧油商「鍵屋」の家屋。江戸時代末期築。
旧福田医院: 大正14年頃築の洋館。
森田家住宅: 旧雑貨商「諸木野屋」の家屋。江戸時代後期築。
竹田家住宅: 江戸時代末期築の2戸1町家。
川尾家住宅: 江戸時代末期築。
好岡家住宅: 明治20年代築。
宇陀市大宇陀歴史文化館「薬の館」（旧細川家住宅）: 江戸時代末期築。「薬の館」として公開。
山邊家住宅: 江戸時代中期築。県指定重要文化財。
都司家住宅: 「更紗屋」の家屋。明治元年頃築。
黒川本家: 葛を商う「山ノ坊屋」の家屋。江戸時代中期築。谷崎潤一郎も訪れた。
林家住宅: 「拾生屋」の家屋。江戸時代後期築。
森岡家住宅: 「森藤」の家屋。大正時代築。
大宇陀福祉会館（旧松山町役場）: 明治36年築。
久保酒造: 明治42年築。
芳村酒造: 昭和16年築。
松山地区まちづくりセンター「千軒舎」（旧内藤家）
恵毘須: 愛宕神社、恵毘須神社と愛宕寺の神仏混合社。
春日神社
万法寺: 本堂が県指定重要文化財。
法正寺: 江戸時代後期築の本堂と薬医門

重伝建地区外の観光スポット

阿紀神社: 能舞台がある。
万葉公園（かぎろひの丘）
大願寺
宇陀松山城跡: 国の史跡。
佐多神社
慶恩寺
光明寺: 山門が県指定重要文化財。
阿騎野・人麻呂公園: 遺跡公園、復元建造物や柿本人麻呂の歌碑などがある。
又兵衛桜
大亀和尚民芸館
道の駅宇陀路 大宇陀
織田藩上屋敷跡
* 織田藩長山屋敷跡

交通アクセス

近鉄大阪線榛原駅から奈良交通バスに乗車し、「大宇陀」で下車してください。

松山は、歴史的な町並みを散策しながら、日本の文化と触れ合える魅力的な場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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