松本大樹 (映画監督)

松本 大樹

1983年5月16日に兵庫県神戸市灘区で生まれた松本大樹（まつもと だいき）は、日本の映像クリエイターであり、映画監督、撮影監督、プロデューサーとして多岐にわたる活動を展開している人物である。現在は出身地である神戸を主要な活動拠点とし、自身が代表を務める映像制作会社、合同会社CROCOを率いている。また、日本の撮影技術の発展に貢献するプロフェッショナル団体である日本映画撮影監督協会の正会員としても名を連ねている。

経歴

松本大樹の映像業界でのキャリアは、ポストプロダクションや撮影技術会社など、多様な映像制作関連企業での実務経験から始まった。この時期に、映像の撮影から編集、仕上げに至るまで、制作プロセスの根幹を成す高度なノウハウを磨いた。確かな技術と経験を携え、フリーランスの映像クリエイターとして独立。その後、2013年には合同会社CROCOを設立し、代表に就任する。CROCOを拠点として、テレビ番組、企業のプロモーションCM、ミュージックビデオなど、幅広いジャンルの映像コンテンツ制作に携わることで、その制作領域を拡大していった。

2019年には、満を持して自身初の長編監督作品となる映画『みぽりん』を発表し、映画監督としてデビューを果たす。このデビュー作は、公開されるや否やその独創的な世界観と観客を巻き込む力で大きな話題を呼んだ。国内の映画祭でも高く評価され、カナザワ映画祭2019では「期待の新人監督」部門で観客賞を受賞、さらにおおさかシネマフェスティバル2020ではワイルドバンチ賞を受賞するなど、その才能が広く認められた。特に『みぽりん』は、劇場公開時に「みぽらー」と呼ばれる熱狂的なファン層を生み出し、観客が声を出して作品に参加する「絶叫上映」といった斬新なスタイルが大きなムーブメントとなり、社会現象とも呼べる反響を巻き起こした。

新型コロナウイルスのパンデミックという困難な状況下においても、松本監督の創作意欲は衰えることなく、リモートワークを活用した新たな形式の映画や、従来の実写映画の制作を継続的に行った。2021年には、製作総指揮と監督を兼任した映画『極道系Vチューバー達磨』を制作。この作品も国内外で注目を集め、日本の権威ある映画祭の一つであるゆうばり国際ファンタスティック映画祭2022では、個性的な作品が選ばれる「ゆうばりチョイス」部門に選出された。さらに、同年には遠く離れたアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたブエノスアイレス・ロホサングレ映画祭2022にも正式に招待上映され、その国際的な評価を確立した。

主な作品

映画監督作品

『みぽりん』（2019年） - カナザワ映画祭2019観客賞、おおさかシネマフェスティバル2020ワイルドバンチ賞受賞。
『はるかのとびら』（2020年）
『コケシ・セレナーデ』（2020年）
『極道系Vチューバー達磨』（2022年） - ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2022ゆうばりチョイス部門選出、ブエノスアイレス・ロホサングレ映画祭2022正式招待。
『婚活マーメイドぴちぴちまりんちゃん』（2022年） - AnyKobe2022、渋谷TAPEN映画祭CLIMAXat佐世boにて上映。
『きらっきらにぶちころしたいっ！』（2023年）
『AGI俳優クニミノブヒコ』（2023年）

主な撮影担当作品

『あはらまどかの静かな怒り』（2022年、衣笠竜屯監督）
『これじゃない歌』（2022年、岡本崇監督）
『きらっきらにぶちころしたいっ！』（2023年、監督作品と兼任）
『ボールドアズ、君。』（2023年、岡本崇監督）

その他

『アナ・ザ・ワールド』（2020年） - 共同脚本として参加。

自身の制作会社を基盤に、独創的な視点と多様なスタイルで精力的に作品を生み出し続ける松本大樹は、日本のインディーズ映画シーンにおいて独自の地位を築いている。神戸から発信される彼の今後の活動、特にどのような新しい映像表現を追求していくのか、映画界内外からの注目が集まっている。

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