松本清張のケルト紀行

松本清張のケルト紀行

『松本清張のケルト紀行』は、著名な小説家である松本清張と考古学者の佐原真による貴重な旅行記です。この著作は、清張が亡くなった後の2000年3月に日本放送出版協会から出版されました。本書は1985年に行われたスコットランドを中心とした巨石文化の踏査の記録であり、清張が生前に構想していた著作『スコットランドから日本へ』を基に編纂されています。

書籍の概要

本書は主に二部構成で成り立っています。前半では、清張自身が取材中に撮影した写真が集められており、巨石文化の壮大さや神秘性を視覚的に伝えています。特に1985年9月17日から28日までの間に訪れた場所の写真が収められており、読者にその場の雰囲気を体感させることができます。後半には、清張の取材ノートや彼と佐原の会話の記録が掲載されており、豊富な情報とともに彼らの考古学に対する情熱が窺えます。

章立てとテーマ

本書は以下の章立てで構成されています。

• - ケルト文明の起源を求めて：スコットランドのシェトランド島とオークニー島に焦点を当てています。ここでは、ケルト文化の神秘と巨石遺跡を探る旅が記録されています。
• - カントリーサイドをゆく：中部イングランドの旅を通じて、伝統的なイギリスの風景と文化が描写されています。
• - ストーンヘンジと巨石墓：イギリス南部にある有名な環状列石、ストーンヘンジを中心に、その歴史的背景が探求されています。
• - カルナックの列石群と南仏の巨石墓：フランスにおける巨石記念物の重要性について述べられています。
• - ドキュメント・ノベルの旅：ボヘミアから南フランスへと続く旅路が描かれています。
• - ケルト、巨石聖徒を追う旅：ケルト文化の深層に迫る内容が展開されています。

他にも、実際の取材日記や清張と佐原の対話が収められており、彼らの思索の過程を追うことができます。特に清張の取材ノートには、訪れた場所ごとの詳細な記録や、彼らが感じた印象が生き生きと綴られています。

会話篇と交流の記録

末尾には、清張、佐原、ケンブリッジ大学のジーナ・リー・バーンズ、チェルテンハイム博物館のアラン・サヴィールとの会話の録音transcriptionが収められています。ここでは、彼らがどのように巨石文化に関する見解を深め、豊かな学術的交換を行ったのかを示しています。

本書は、ケルト文明や巨石文化に興味のある読者にとって貴重な資料であると同時に、松本清張の文学的視点と考古学の知見が融合した興味深い作品です。清張独特の鋭い観察眼と豊かな表現力が楽しめる一冊です。

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