松本育代

松本 育代

1987年11月8日、奈良県橿原市に生まれた松本育代（まつもと いくよ）は、日本の元女子プロ野球選手です。ポジションは捕手で、右投げ右打ちでした。

経歴

松本育代のキャリアは、地元の奈良県で始まりました。奈良文化女子短大付属高校（現在の奈良文化高校）に在学中、彼女はソフトボール選手として活動する傍ら、福祉の分野についても深く学びました。学業と並行してホームヘルパー2級の資格を取得するなど、野球以外の道にも真剣に取り組んでいたことがうかがえます。卒業後、松本は社会人として介護士の仕事に就きました。

介護士として働きながらも、野球への情熱は衰えませんでした。休日が不規則で、労働条件が必ずしも恵まれているとは言えない環境の中で、彼女は女子硬式野球のクラブチームである大阪BLESSに所属し、練習を続ける日々を送りました。社会人として働きながら高いレベルで野球を続けることは容易ではなかったと推測されますが、プロ野球選手になるという目標に向けて、厳しい状況下でも努力を重ねていたのです。

2009年、日本女子プロ野球機構が第1回の合同トライアウトを実施する機会を得た松本は、これに挑戦し見事に合格を果たしました。同年12月に行われたドラフト会議で指名を受け、プロ野球選手としての第一歩を踏み出すことになります。入団先は、兵庫スイングスマイリーズでした。

兵庫スイングスマイリーズでの1年目を終えた2010年のシーズンオフ、松本はキャリアにおいて最初の転機を迎えます。深澤美和選手、中村茜選手とのトレードにより、小久保志乃選手と共に京都アストドリームスへの移籍が決定しました。新たなチームでは内野手や捕手として試合に出場しましたが、兵庫時代から抱えていたケガに悩まされることが多く、思うようなパフォーマンスを発揮できない苦しい時期が続きました。この間、背番号は2010年の5から2011年からは7に変更されています。

2012年のシーズン終了後、日本女子プロ野球機構では球団の再編が行われました。この再編に伴い、松本は所属球団をウエスト・フローラへ変更します。背番号も23に変更となりました。このチームで、彼女はキャリアの集大成とも言える活躍を見せることになります。2013年シーズン、松本はウエスト・フローラの初代正捕手として、チームの守備の要を担いました。この年、彼女は公式戦41試合に出場し、女子プロ野球入り後初めて規定打席に到達するなど、主力選手としての地位を確立しました。打撃成績も向上し、シーズン通算打率.241を記録するなど、攻守にわたってチームに貢献しました。

しかし、充実したシーズンを送った直後の2013年10月24日、松本育代は現役からの引退を表明しました。介護士として働きながらプロを目指し、幾度かのチーム移籍やケガの苦難を乗り越え、最後に正捕手として輝きを放った彼女の野球人生は、ここで幕を閉じました。短いプロキャリアではありましたが、その道のりは多くの苦労と努力、そして最後の成功によって彩られています。

詳細情報

背番号

5（2010年）
7（2011年 - 2012年）
* 23（2013年）

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