松永嘉夫

松永嘉夫（まつなが よしお）は、1933年12月15日に愛知県名古屋市で生まれ、1996年11月3日に亡くなった日本の著名な経済学者です。彼は、日本の経済学界において、国際経済、特に為替相場や貿易に関する研究で重要な貢献をしました。

松永は、愛知県立旭丘高等学校を経て、1956年に名古屋大学経済学部を卒業しました。その後、同大学大学院に進学し、1961年に経済学研究科博士課程を満期退学しました。1965年には、「対外流動準備の機能に関する研究 適正対外流動準備の理論」という論文で経済学博士号を取得しました。この研究は、国際金融における外貨準備の役割と、その適切な水準について深く掘り下げたもので、彼の後の研究活動の基礎となりました。

大学院修了後、松永は名古屋大学で助手としてキャリアをスタートさせ、1964年には名古屋市立大学で講師として教鞭を執り始めました。その後、1965年に助教授、1971年には教授に昇進し、経済学部長も務めました。名古屋市立大学での教育活動を通じて、多くの学生を育成し、経済学の発展に貢献しました。1994年には、長年の教育と研究に対する貢献が認められ、名古屋市立大学から名誉教授の称号を授与されました。

1991年、松永は早稲田大学商学部に教授として迎えられ、教育と研究活動を続けました。早稲田大学では、国際経済学に関する専門知識を活かし、学生たちにグローバルな視点から経済を捉えることの重要性を伝えました。1996年に早稲田大学を定年退任した後、中部大学で教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。

松永嘉夫の研究業績は、多くの著書や論文として発表されています。主な著書には、『外貨準備と経済成長』（1967年）、『「円」の経済学 円は切り上げるべきか』（1970年）、『為替相場からみた日本経済 円高は経済の落日を招くか』（1981年）、『日本経済・再発展の条件 肥満型経済からどう脱出するか』（1983年）、『日本貿易論』（1993年）などがあり、これらの著作は、当時の日本の経済状況を分析し、政策提言を行う上で重要な役割を果たしました。

また、松永は、国際経済に関する共編著も多数発表しており、『世界経済と貿易政策』（1972年）、『国際経済論』（1976年）、『国際経済入門』（1978年）、『世界経済のなかの日本経済』（1979年）、『日本経済21世紀へのシナリオ』（1986年）、『新国際経済教室 新しい国際経済体制と日本の対応を考える』（1992年）などがあります。これらの著作は、国際経済の複雑な構造を分かりやすく解説し、学生や研究者にとって貴重な知識源となりました。さらに、ロバート・トリフィンの著作『国際通貨制度入門 歴史・現状・展望』の翻訳も手がけており、国際経済学の普及に大きく貢献しました。

松永嘉夫は、その生涯を通じて、経済学の研究と教育に情熱を注ぎ、国際経済学の分野で多大な貢献をしました。彼の研究は、現代の経済学の発展に大きな影響を与えており、彼の著作や研究成果は、今なお多くの研究者や学生によって参照されています。

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