松澤初穂

松澤 初穂

松澤初穂（まつざわ はつほ、1914年1月8日 - 2011年1月1日）は、日本の女子水泳選手として歴史に名を刻んだ人物であり、1932年のロサンゼルスオリンピックで日本代表として出場した選手です。彼女の経歴は、舞鶴市に生まれたことから始まります。

生涯の初期と水泳選手への道

松澤は、父親が大日本帝国海軍の軍人だったことに影響され、横須賀市に一時期住んでいましたが、関東大震災を受けて舞鶴に戻ります。水泳に興味を持ったのは、高等女学校の3年生のときでした。市岡高等女学校に転校した際、水泳部に所属し、顧問からクロールを学びます。これにより、彼女は急速に水泳技術を向上させました。

彼女は卒業後、日本女子体育専門学校に進学しますが、当時の環境は厳しく、プールがないため近くの池で練習し、日曜日のみ神宮プールを利用していました。また、指導者もおらず、ほとんど独学で泳ぎ続けました。学校生活の寮では、質素な食事を受ける中、大勢の学友と楽しい時間を過ごしました。

オリンピック出場

松澤は、1932年のロサンゼルスオリンピック日本代表選考会で100メートル自由形に出場し、ゴール直前に水を飲み込むアクシデントがありましたが、見事に日本代表として選出されました。彼女の体験した合宿は、オリンピック準備に向けた重要な機会でした。

オリンピックでは、松澤は日本女子選手団の宿舎で忙しい日々を過ごし、英会話やテーブルマナー、和服の着付けなどを学びました。ロサンゼルスに渡る際、彼女は船の主将を務め、選手たちの世話を任されました。この経験により、自己記録は更新するものの、予選で敗退してしまいますが、運命的な瞬間もあり、他の選手を助けたことで拍手を受けました。

選手引退後の歩み

松澤はオリンピック後、母校の教師となり、水泳競技では指導者としても活躍します。彼女は1936年のベルリンオリンピックに日本選手団の役員として参加し、この試合に全力で選手たちをサポートしました。特に前畑秀子選手との友情は長く続き、選手たちの心の支えとなりました。

そして、1937年に結婚し、主婦としての生活に入りましたが、5人の子どもを育てながら水泳界とのつながりを持ち続けます。1964年には「功労章」を受賞し、1996年にはオリンピック出場女子選手の思い出集に寄稿しました。

晩年

1984年に70歳を迎えた松澤は、マスターズ選手として再び泳ぎ始め、「西宮すみれ会」を結成し、86歳まで活躍しました。75歳の時にはデンマークで開催された大会でも世界新記録を達成しました。

彼女は2011年、96歳で亡くなるまで水泳と寄付活動を通じ、多くの人々に影響を与えました。松澤初穂の人生は、オリンピックという栄光を通じて、日本女子水泳の先駆者としての道を築きました。彼女の貢献は記憶され、後の世代に受け継がれていくことでしょう。

もう一度検索