松田利彦

松田利彦：近代日朝関係史研究の第一人者

松田利彦氏は、[1964年]]生まれの日本の歴史学者であり、[[国際日本文化研究センター]の副所長・教授を務めています。専門は近代日朝関係史で、特に植民地時代の朝鮮における日本の支配構造や社会状況に関する研究で知られています。

学歴とキャリア

徳島県出身の松田氏は、京都大学文学部史学科を卒業後、同大学院文学研究科で西洋史学、現代史学を専攻しました。博士後期課程を退学後、[文部省]]学術振興会特別研究員を経て、京都大学文学部助手、兵庫県立神戸商科大学商経学部専任講師を歴任。1998年には[[国際日本文化研究センター]助教授に就任し、2007年に准教授、2013年には教授に昇進しました。2020年からは日文研副所長も兼務しています。 ソウル大学社会科学大学経済研究所での在外研究員経験も有しており、国際的な視野を持つ研究者でもあります。2008年には「日本の朝鮮植民地支配と警察 一九〇五～一九四五年」で京都大学より文学博士号を取得しています。

研究内容と業績

松田氏の研究は、近代日本と朝鮮半島との関係、特に日本の朝鮮植民地支配に焦点を当てています。植民地行政、警察、法律、そして植民地社会における朝鮮人の生活といった多角的な視点から、歴史的事実を詳細に分析しています。単著『日本の朝鮮植民地支配と警察 一九〇五～一九四五年』は、この分野における代表的な著作の一つとして高く評価されています。

この他にも、戦前期の在日朝鮮人の参政権問題や、東亜連盟運動における朝鮮人の役割など、多岐にわたるテーマを研究対象としています。多くの編著、共編著も手がけており、植民地時代の日本と朝鮮半島に関する多様な研究成果を世に送り出しています。これらの著作は、日韓関係史研究において重要な知見を提供し、現代社会における日韓関係を考える上で欠かせない参考文献となっています。

主要著作

松田氏の著作は、単著、編著、共編著合わせて多数にのぼり、その研究範囲の広さと深さを示しています。主な著作として以下が挙げられます。

単著:
『戦前期の在日朝鮮人と参政権』（明石書店、1995年）
『日本の朝鮮植民地支配と警察 一九〇五～一九四五年』（校倉書房、2009年）
『東亜連盟運動と朝鮮･朝鮮人 日中戦争期における植民地帝国日本の断面』（有志舎、2015年）
編著・共編著:
『日本の朝鮮・台湾支配と植民地官僚』（人間文化研究機構国際日本文化研究センター、2008年）
『植民地帝国日本の法的構造』『植民地帝国日本の法的展開』（信山社出版、2004年）
その他多数

また、刊行史料として『松井茂博士記念文庫旧蔵 韓国「併合」期警察資料』全8巻（ゆまに書房、2005年）を編集・刊行するなど、一次史料の活用にも力を入れています。

まとめ

松田利彦氏は、近代日朝関係史における第一人者として、多角的な視点と緻密な研究によって、植民地時代の歴史解明に大きく貢献しています。その研究成果は、日韓関係史研究のみならず、現代社会における歴史認識や国際関係を考える上で重要な示唆を与えてくれます。今後の研究活動にも期待がかかります。

もう一度検索