板坂耀子

板坂耀子：近世文学研究の第一人者と作家の顔を持つ学者

板坂耀子氏(1946年 - )は、日本の国文学界に重要な足跡を残す国文学者であり、才能あふれる作家でもあります。専門は日本近世文学、特に近世紀行文の研究で知られています。福岡教育大学名誉教授の肩書きからも、その学界における地位の高さが伺えます。

大分県に生まれた板坂氏は、九州大学文学部国文科を卒業後、同大学大学院文学研究科博士課程に進学。1975年に博士課程を修了し、その後は教育の道へ進みます。熊本短期大学講師、愛知県立女子短期大学助教授を経て、1994年には「江戸の旅と文学」で文学博士の学位を取得。そして福岡教育大学教授に就任し、長年にわたって後進の指導にあたりました。2010年には福岡教育大学を退職、名誉教授となります。

学究的な活動に加え、板坂氏は作家としても活躍しています。1971年には集英社の第4回小説ジュニア新人賞佳作を受賞するなど、早くからその才能を開花させました。小説家としてのキャリアは、学術研究者としてのキャリアと並行して歩んできたと言えるでしょう。

彼女の研究テーマは、主に近世紀行文です。江戸時代の庶民の暮らしや文化、旅の情景などが鮮やかに描かれた紀行文を丁寧に分析し、当時の社会情勢や人々の心情を解き明かしています。その研究成果は数多くの著書、論文に結実し、日本近世文学研究に多大な貢献を果たしています。

主な著書としては、『江戸を歩く 近世紀行文の世界』『江戸の旅と文学』『江戸の女、いまの女』『江戸の旅を読む』『江戸の紀行文　泰平の世の旅人たち』など、近世紀行文に関するものが多く見られます。これらの著作は、一般読者にも分かりやすく江戸時代の魅力を伝えるものとして高く評価されています。また、『平家物語 あらすじで楽しむ源平の戦い』のような、古典文学を現代的に解釈した作品も発表しており、幅広い読者層にアプローチしています。さらに近年では、『断捨離』をテーマにしたエッセイ集を多数発表するなど、多様なテーマに挑戦し続けています。

板坂耀子氏の研究と創作活動は、江戸時代という歴史の奥深さ、そしてそこに生きた人々の息吹を現代に伝える上で重要な役割を果たしています。彼女の著作は、学術的な価値のみならず、広く一般読者にとっての知的エンターテインメントとしても高い評価を得ています。これからも彼女の活動から目が離せません。

主な著書一覧

『かげりゆく光の中で』(1979)
『従順すぎる妹』(1982)
『江戸を歩く 近世紀行文の世界』(1993)
『江戸の旅と文学』(1993)
『江戸の女、いまの女』(1994)
『江戸の旅を読む』(2002)
『動物登場』(2004)
『平家物語 あらすじで楽しむ源平の戦い』(2005)
『私のために戦うな』(2006)
『集団内の役割分担 文学作品のパターンに見る』(2007)
『江戸の紀行文　泰平の世の旅人たち』(2011)
『いらいらもいろいろ』(2019)
『断捨離狂騒曲』(2019)
『断捨離乱れ箱』(2020)
『断捨離停車駅』(2020)
『断捨離展望台』(2020)
『断捨離潜水艦』(2020)
『断捨離飛行艇』(2020)
『お買い物と文学』(2021)
『水の王子「村に」(電子書籍版)』(2022)
『水の王子「村に」(書籍版)』(2023)

編纂など

『江戸温泉紀行』(1987)
『近世紀行集成』(1991)
『新日本古典文学大系 98 東路記・己巳紀行』(1991)
* 『近世紀行文集成』第1-2巻(2002)

板坂耀子公式サイト: http://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~itasaka/top.html

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