板橋興宗

板橋興宗の生涯と業績

板橋興宗（いたばし こうしゅう、1927年5月20日 - 2020年7月5日）は、日本の著名な曹洞宗の僧侶であり、多くの弟子を育て、書籍を通じて人々に影響を与えました。彼は宮城県多賀城市の農家に生まれ、旧制仙台第一中学校を卒業後、第二次世界大戦中は海軍兵学校に入学します。敗戦による栄養失調から回復後、仙台工業専門学校から中退し、1949年に新制東北大学の宗教学科に進学しました。学業のかたわら、禅の道を目指す決意を固めました。

出家と修行の旅

大学卒業後の1953年、板橋は仙台市の輪王寺で渡辺玄宗禅師に出会い、出家の道を歩むことになります。以降、總持寺での厳しい修行を経て、後に浜松の井上義衍禅師に学びに行きました。再び渡辺禅師のもとに戻り、彼の一番弟子となった松本龍潭に嗣法し、大乗寺への赴任にも同行します。

1962年には瑞洞院の住職に任命され、その後1970年代には100人近くの弟子を取ることになります。更に、總持寺の講師や管理職を歴任し、1981年には大乗寺の山主として「椅子坐禅」の普及に努めました。これは禅の実践を日常生活に取り入れる新しい試みでした。

教えの広まりと貫首への道

1997年には總持寺副貫首に選出され、翌年には貫首として曹洞宗の教えを代表する地位に就きます。彼のリーダーシップの下で、過去の伝統を重んじつつ、現代に即した新しい教えを加え、信者や弟子たちに深い影響を与えました。道元の大遠忌を迎える1999年に約4年9か月の任期を経て貫首の職を退き、以後は總持寺祖院の住職に戻ります。

また、2002年には御誕生寺を復興し、住職としての役割を引き継ぎました。ここでも「坐禅」の教えを広め、多くの人々に禅の素晴らしさを伝えました。専門僧堂の認可を受けることで、より多くの修行者の受け入れを行い、僧侶育成にも尽力しました。

著作活動と遺産

彼の著作は多岐にわたり、特に「心豊かに」生きる知恵や、「人生は河の流れのごとく」といった書籍は、多くの人に影響を与えました。それぞれの著書では禅における哲学や日常生活に役立つ教訓が語られ、読者にとっての「生きる意味」を考えるきっかけとなっています。

板橋は共著にも積極的に参加し、他の僧侶や学者と共同で執筆した書籍も数多く存在します。これらの著作物が今日まで読み継がれることで、彼の教えが後世にも受け継がれることを希望していました。

最晩年と逝去

2020年7月5日、彼は老衰で逝去しました。93歳という長い人生を通じて、板橋興宗は曹洞宗の発展に貢献し、多くの人々の心に灯をともした高僧として記憶されています。彼の教えと著作は、今なお多くの人々へと伝えられることでしょう。

もう一度検索