林檎殺人事件

林檎殺人事件：郷ひろみと樹木希林の異色のデュエット

1978年6月21日、郷ひろみの27枚目のシングル「林檎殺人事件」が発売されました。この曲は、樹木希林とのデュエット作品であり、TBS系列で放送されていたテレビドラマ『水曜劇場「ムー一族」』のコントコーナー挿入歌として使用されました。

タイトルからミステリアスなイメージを想像させますが、実際はコミカルな内容で、独特の世界観が魅力です。その人気は絶大で、『ザ・ベストテン』では4週連続1位を獲得。特に3週目の1位となった際には、郷ひろみと樹木希林は司会の久米宏、黒柳徹子と同じ衣装で出演するという、話題を呼ぶ演出がなされました。これは樹木希林の提案によるものでした。このヒットにより、年間ベストテンにもランクインするなど、1978年の音楽シーンを代表する一曲となりました。

この楽曲のコンセプトは、一般的な「素敵な男女」像とは異なる、樹木希林と郷ひろみの凸凹ペアを、雌雄の区別がない両性具有のような存在として表現することでした。これは、樹木希林自身も語っているように、曲中の特徴的なフレーズ「フニフニフニフニ」にも反映されています。「フニフニフニフニ」は、二つとない、実際は一つである『不二』を意味し、独特のコンセプトを象徴する言葉となっています。

このユニークなコンセプトと歌詞は、『ムー一族』のプロデューサーである久世光彦氏のアイデアです。「フニフニフニフニ」も、久世氏の言葉遊びから生まれたものです。作詞を担当した阿久悠氏は、久世氏からコンセプトを説明された際に「それだけ出来てるなら自分で書けばいい」と答えたという逸話も残されています。

曲のストーリーは、探偵が気を失う場面で終わっており、肝心の殺人事件は解決されていません。このミステリアスなエンディングも、この楽曲の独特な魅力の一つと言えるでしょう。

楽曲は阿久悠作詞、穂口雄右作曲・編曲で、郷ひろみと樹木希林の個性豊かな歌声が、楽曲の世界観を見事に表現しています。A面には「林檎殺人事件」、B面には郷ひろみのソロ曲「また会える?」が収録されています。

「林檎殺人事件」は、その後も多くのアーティストによってカバーされています。モダンチョキチョキズ、モーニング娘。、安藤裕子など、様々なアーティストがそれぞれの解釈でこの曲を歌い継いでおり、その人気は現在も続いています。

「林檎殺人事件」は、コミカルな歌詞と、独特なコンセプト、そして郷ひろみと樹木希林という異色の組み合わせが織りなす、忘れられない名曲です。その背景にある様々なエピソードも、この楽曲の魅力をさらに深めています。 1978年の音楽シーンを彩った、このヒット曲の持つ独特の雰囲気と、その裏側に秘められた数々のストーリーは、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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