林田堅吾

林田 堅吾

林田 堅吾（はやしだ けんご、1975年8月25日 - ）は、長崎県島原市に生まれた日本の元プロ野球選手である。ポジションは投手で、右投げ右打ち。

長崎県立島原工業高等学校を卒業した後、林田氏は日本の大学などへ進学する道ではなく、海を渡りアメリカ合衆国での野球留学を決断する。1994年には渡米し、フロリダ州にあるセントピーターズバーグ短期大学に入学。異国の地で野球と学業に励んだ。

その後、アリゾナ州のアリゾナ・ウエスタン短期大学へ転校。このアリゾナでの生活中に、日本ハムファイターズ（現在の北海道日本ハムファイターズ）のスカウト関係者の目に留まることとなる。彼の持つ投手としてのポテンシャル、特にその球威が日本のプロ野球界の関係者を引きつけた。そして1996年のプロ野球ドラフト会議において、8位指名という評価を受けて日本ハムファイターズへの入団が決定した。

投手としての林田氏は、最速で156キロメートルを計測する非常に速いストレートと、打者の手元で鋭く、あるいは大きく変化するフォークボールを主な武器としていた。特にそのスピードボールは、当時の日本人投手としては群を抜いており、将来のエース候補として、あるいはリリーフ投手として活躍が期待される存在だった。

大きな期待とともにプロの世界に足を踏み入れた林田氏であったが、そのキャリアは不運に見舞われることになる。入団して間もない1年目に、選手にとって生命線ともいえる左肩に故障を抱え、手術を受けることを余儀なくされた。手術からの回復を目指し、以後、懸命なリハビリテーションに取り組む日々が続いた。しかし、プロの世界で戦えるコンディションを取り戻すことは容易ではなく、残念ながら一度も一軍の公式戦のマウンドに登ることなく、入団からわずか2年後の1998年に現役引退を決断した。

彼の短いプロ野球キャリアの中で、特筆すべきエピソードとして、アリゾナ・ウエスタン短期大学時代のチームメイトであったビリー・ムニョス氏を日本ハム球団に紹介したことが挙げられる。林田氏の推薦もあり、ビリー・ムニョス氏もまた同時期に日本ハムに入団することとなった。しかし、奇しくもビリー・ムニョス氏も林田氏と同様に一軍での出場機会を得ることができず、こちらも1年限りでチームを去っている。

プロ野球選手として在籍した2年間、背番号は「53」であった。

最速156キロの速球を持つポテンシャルを秘めながらも、度重なる怪我、特に左肩の手術という大きな壁に阻まれ、その能力をプロのマウンドで披露する機会を得られなかったことは、本人にとっても、そして期待を寄せていた球団やファンにとっても、非常に残念な結果であったと言える。現役生活は非常に短く終わったが、アメリカでの野球留学を経てドラフト指名に至るという、当時の日本人選手としては比較的珍しい経歴を持つ選手として、その名は記録に残されている。

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