林良一

林良一

林良一（1918年4月24日 - 1992年10月2日）は、日本の仏教美術史学者であり、文様史および正倉院の研究において顕著な業績を残しました。筑波大学名誉教授の称号を持ち、日本の美術史研究に深く貢献しました。

生涯

東京市（現在の東京都港区）に生まれた林良一は、1952年に東京大学文学部美学美術史学科を卒業しました。その後、1957年に同大学院の特別研究生課程を修了。多摩美術大学や日本大学芸術学部で講師を務めた後、1960年には東京教育大学の講師に就任しました。さらに1963年には明治大学でも講師を務め、その幅広い知識と研究成果を教育の現場で共有しました。

1963年、林良一は『シルクロード』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しました。この受賞は、彼の研究が学術的な価値だけでなく、一般読者にも広く受け入れられる魅力を持っていたことを示しています。1967年には東京教育大学の助教授、後に教授となり、筑波大学教授、同芸術専門学群長を歴任しました。1982年に定年退官し、筑波大学名誉教授となりました。退官後も駒澤大学教授として教鞭を執り続けました。

研究内容

林良一の研究は、仏教美術史、特に文様史と正倉院の研究に重点を置いていました。シルクロードを通じて伝播した文化や美術に着目し、東西の文化交流が日本の美術に与えた影響を深く探求しました。正倉院に収められた宝物の文様を詳細に分析し、その起源や変遷を明らかにすることで、日本の美術史における正倉院の重要性を再認識させました。

著書

林良一は、数多くの著作を通じて研究成果を発表しました。主な著書には以下のようなものがあります。

『シルクロード』（美術出版社, 1962年）
『シルクロードと正倉院』（平凡社, 1969年）
『ペルシアの遺宝』全3巻（[並河万里]写真、新人物往来社, 1978‐79年）
『ガンダーラ美術紀行』（時事通信社, 1984年）
『シルクロード』（時事通信社, 1988年）
『東洋美術の装飾文様 植物文篇』（同朋舎出版, 1992年）

これらの著作は、彼の研究の集大成であり、仏教美術史や文様史の研究において重要な参考文献となっています。

林良一の業績は、日本の仏教美術史研究に多大な影響を与えました。彼の研究は、美術史の専門家だけでなく、広く文化に関心を持つ人々にとって貴重な知的資源となっています。彼の著作は、今もなお多くの読者に読まれ、新たな研究の出発点となっています。

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