林良平

林良平（はやし りょうへい、1876年 - 1954年）は、大正時代を中心に活躍した写真家であり、特に風景写真においてその才能を発揮しました。1876年（明治9年）に愛知県豊橋市で生まれた林は、地元の豊橋でも写真撮影を行っていました。

1914年（大正3年）、38歳で東京蔵前工業の夜学に入学し、同時に東京本郷の望月写真館で働きながら写真技術を学びました。この時期に写真家としての基礎を築いたと考えられます。

大正初期頃からは、富士山や御殿場太郎坊二合二勺に写真場を設け、登山客を撮影することで生計を立て始めました。富士山周辺だけでなく、伊豆、信州、奥秩父など、広範囲にわたり徒歩で精力的に撮影を行いました。その足跡は、北は信州松本、南は伊豆下田、西は清水の三保の松原、東は埼玉の長瀞と、日本の各地に及んでいます。

1921年（大正10年）には、45歳で伊豆下田の松本しまと結婚し、伊豆の河津に移り住みました。富士山の登山客を撮影する仕事は、昭和4年まで続けられました。林は、約2,000枚にも及ぶキャビネ乾板を残しており、その作品は、当時の日本の原風景を捉えた貴重な記録となっています。

林の作品は、後年になって評価が高まり、銀座や富士フォトサロンなどで回顧展が開催されました。2014年には、株式会社パレードから写真集『日本の原風景 放浪の写真師 林良平作品集(1876-1954)』が発行され、その業績は広く知られるようになりました。

写真集
『日本の原風景 放浪の写真師 林良平作品集(1876-1954) 』パレード、2014年、ISBN 978-4434188626

外部リンク
『幕末・明治の写真師』総覧

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