枢軸サリー

枢軸サリー：戦時中の影響力とその後の人生

枢軸サリー、またの名をミルドレッド・エリザベス・シスクは、1900年11月29日にアメリカ・メイン州ポートランドで生を受けた。彼女は第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによって行われた連合国に向けたプロパガンダ放送のアナウンサーとして知られ、多くのリスナーに強い印象を残した。その特徴的な語り口や内容が「枢軸サリー」の名を生み、彼女はその名と共に歴史に名を刻むこととなる。彼女の人生の旅は、決して平坦なものではなかった。

幼少期と教育

ミルドレッドは若い頃から女優を目指し、ニューヨークに引っ越した後、オハイオ・ウェスリアン大学で演劇を学んだ。女優の夢を抱いていたが、挫折を経験した彼女は新たな道を模索することになる。1935年にはベルリンの外国語学校で英語教師として働き始め、その後、出身地アメリカに戻ることなく、ドイツで数年間を過ごすことになる。彼女はベルリン放送に採用され、ナチス政権が確立した時期に彼らの宣伝活動に身を置くことになる。

ナチスの宣伝活動

枢軸サリーはベルリン放送において、女優やアナウンサーとして独特なスタイルでプロパガンダを広めた。特に彼女のアナウンスは魅惑的で、連合国軍の兵士たちにも広く知られる存在となる。1944年5月11日には、ノルマンディー上陸作戦前に特筆すべきラジオドラマが放送され、アメリカの母親が息子を失う夢を描いた物語が心に響いた。この放送の台詞には、戦争の悲惨さを強調する言葉も含まれており、「D-DayのD、それは運命、災難、死、敗北、ダンケルク、そしてディエップ・・・」という言葉が多くの耳に残った。

戦後と裁判

戦争が終結した後、枢軸サリーはアメリカに送還され、1948年に反逆罪で起訴されることになる。検察側は彼女がナチスに忠誠を誓ったことや、連合国の兵士の声を収集しそれを利用したと主張したが、彼女自身はその多くの容疑を否認した。裁判は短期間で進行し、結局彼女は反逆罪において一つの訴因のみが認められ、懲役10年から30年の判決を受けることとなった。この判決は、同様のケースで厳しく処罰された他の者たちとは対照的であった。

その後の生活

1959年に仮釈放の機会を得た後、2年後の1961年には正式に釈放された。以降はオハイオ州コロンバスのカトリック学校で幼稚園児に音楽を教えつつ、1973年には大学に復学し学位を取得することを目指した。彼女は過去の過ちを悔い、静かな生活を求める中で、自らの経験を振り返る時間を持った。1988年6月25日、彼女は87歳で老衰のためにこの世を去った。

最後に

枢軸サリーは、戦争におけるプロパガンダの象徴的存在として、その存在感を示した人物である。彼女の人生は複雑で、多くの波乱に満ちていたが、その活動は後の世代に多くの示唆をもたらしている。

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