柏崎千葉構造線

柏崎千葉構造線とは

柏崎千葉構造線は、新潟県柏崎市から千葉県にかけて延びる巨大な断層線です。この構造線は、日本列島を横断する主要な地質構造の一つであり、その存在は、日本列島の形成過程や地震活動を理解する上で重要な要素とされています。

フォッサマグナ東縁を巡る議論

1886年、地質学者のナウマンは、日本の大地溝帯であるフォッサマグナの東縁を、新潟県直江津と神奈川県平塚を結ぶ線だと考えました。しかし、その後、研究が進むにつれて、その東縁はさらに東にあるのではないかという考えが浮上しました。1970年には、山下昇が柏崎と千葉を結ぶ線を東縁とする「信越房豆帯説」を発表しました。さらに1976年には棚倉構造線を東縁とする説も登場し、1988年には加藤芳輝が上越銚子線を提唱するなど、東縁の位置を巡る議論は多様化しました。しかし、現在に至るまで、フォッサマグナの東縁は確定されていません。

地震との関連性

2004年の新潟県中越地震では、この柏崎千葉構造線が地震の原因ではないかという憶測が広まり、調査が行われましたが、構造線との関連を示す証拠は見つかりませんでした。このことから、構造線と地震の直接的な関係については、さらなる研究が必要とされています。

断層としての評価

柏崎千葉構造線は、周辺の火山灰や河川堆積物に覆われているため、その実態解明は遅れています。西側の糸魚川静岡構造線と比較しても、その活動性や断層としての性質については、まだ十分に解明されていません。一般的に、活断層とは、過去に繰り返し活動し、今後も活動する可能性のある断層を指しますが、柏崎千葉構造線は、平均変位速度が非常に小さく、AA級活断層（1000年間に10m以上の変位）はおろか、C級活断層（1万年以上に1cm〜10cm未満の変位）の定義にも当てはまらないとされてきました。しかし、1990年代以降の調査で、群馬県東部の大久保断層や太田断層は、B級断層としての活動性や段丘形成に関わっている可能性が指摘されています。大久保断層の上下平均変位速度は0.2-0.4mm/yrと推定されています。

活動歴

柏崎千葉構造線の活動履歴については、まだ解明が進んでいません。しかし、818年頃に発生した弘仁地震との関連を示唆する研究も存在します。この構造線が過去にどのような活動をしてきたのか、今後の調査によって解明されることが期待されます。

まとめ

柏崎千葉構造線は、フォッサマグナ東縁を巡る議論の中で登場した重要な断層線です。その正確な位置や活動性、地震との関係など、まだ多くの謎が残されています。今後の研究によって、この構造線の全容が解明されることが期待されます。

参考文献

濱島良吉、樋口大祐、元島三明、日本列島を縦断する構造線の存在と地震活動度に関する研究 地震工学研究発表会講演論文集 Vol.26 (2001) P137-140, doi:10.11532/proee1997.26.137
群馬県H23報告書案0719版 想定起震断層、震源モデル (PDF) 群馬県
* 群馬県の新たな地震被害想定について (PDF)

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