柱上変圧器

柱上変圧器

柱上変圧器は、「ポールトランス」とも称され、主に架空配電線路で使用される電力変換装置です。一般的には電柱に取り付けられ、固定具を通じて設置されます。この変圧器は、高圧電線の電圧を家庭やオフィスで使用する低圧電圧に変換する役割を持っています。

使用目的と配置

日本における一般的な高圧配電線の電圧は約6,600Vであり、これを家庭向けの100/200Vに変換します。柱上変圧器が電柱に位置することにより、分岐線を介して住居や事務所に電力を供給します。電力供給は、配電用変圧器を設置することで行われ、需要に応じた適切な電圧を提供します。

一方、都市部では電線の地中化が進んでおり、特にパリやロンドンでは100%が地中化されている状況です。これは視覚的な美観や安全性を考慮した結果で、ニューヨークにおいても約70%が地中化されています。これにより、欧州では地中配電方式が主流になりつつあります。

自動電圧調整器

柱上変圧器は、需要の変動によって発生する電圧降下を補うために、自動電圧調整器（SVR）を用いる場合もあります。この装置は、変電所から遠ざかるにつれて電線に生じる抵抗によって低下した電圧を再び上昇させる役割を果たします。特に郊外に多く存在し、柱上変圧器よりも大きいため、複数の電柱によって支えられています。

構造と冷却方式

柱上変圧器は、通常灰色に塗装された円筒形の装置で、定格容量はキロボルトアンペア（kVA）で表示されています。冷却方式には油入自冷式が採用されており、内部は絶縁油で満たされています。高容量の変圧器の場合、放熱用のフィンが取り付けられていることもあります。

設置される場所によっては、一次側の電圧が下がるため、変圧器のタップを切り替えて2次側の電圧を適正に保つ必要があります。この操作には専門的な知識と資格が求められ、取り扱いには十分な注意が必要です。安全性を保つため、接地線による対策も施されていますが、触れる際には検電器などの専用機器を使用して確認することが求められます。

PCB問題とその対策

最近では、柱上変圧器内の絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニル（PCB）が環境や人体に悪影響を及ぼすことが懸念されています。このため、PCBが混入しているトランスの撤去や交換作業が進められています。日本の電力会社は2007年までにすべての柱上変圧器をPCB非含有に交換し、民間企業もほとんどが交換作業を終えたとされています。ただし、PCBに関する情報は完全には把握されていない状況です。

主なメーカー

柱上変圧器を製造している主な企業には、ダイヘン、東光高岳、愛知電機、日立製作所などがあります。これらの企業は、高効率かつ環境に配慮した製品開発を進めています。

関連リンク

• - 架空配電 - どこを通ってお家に届くの？ - 中部電力による解説

柱上変圧器は、安定した電力供給を実現するための重要な機器であり、今後もその技術革新が期待されています。

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