柾虎

柾虎（まさとら）

柾虎（まさとら、本名：水野正和、1975年12月31日生まれ）は、日本のHIP HOPおよびストリートカルチャーに関するジャーナリスト、選曲家、そしてかつてはDJとしても活動した人物です。長年にわたり日本のストリートシーンの重要な局面を見つめ、特にHIP HOP文化の確立と発展に深く貢献してきたキーパーソンの一人として知られています。

来歴

そのキャリアは1995年、東京電機大学に在学中に幕を開けました。この頃からDJとしての活動を開始する傍ら、雑誌媒体での音楽に関する書評執筆にも携わるようになります。キャリアの初期段階では、ファッションやストリートカルチャー全般に関わる幅広い記事を手がけていましたが、「日本のHIP HOPシーンがより健全かつ正しく発展するための一助となりたい」という強い志から、活動の中心を徐々にHIP HOP専門のジャーナリストへとシフトさせていきました。

柾虎がジャーナリストとして広く注目を集めることになった背景には、彼のエネルギッシュな取材スタイルと、アーティストの才能を見抜く確かな目がありました。特に有名なエピソードとして、当時まだ世間的にはほぼ無名だったアーティストたちの非凡な才能をいち早く嗅ぎつけ、自らラジカセを持参して出版社を軒並み訪問し、その熱意をもってアーティストの魅力をプレゼンテーションすることで、インタビュー記事の掲載を精力的に実現させたことが挙げられます。後の日本音楽シーンを代表する存在となる宇多田ヒカル、倖田來未、Sugar Soulといったアーティストたちがブレイクする前に、そのポテンシャルを信じ抜き、世に送り出すために奔走したそのパッションとバイタリティは、多くの関係者やファンの間で今なお語り草となっています。

活動と功績

柾虎の活動領域は多岐にわたります。日本のHIP HOP史において重要な位置を占めるイベント「B BOY PARK」では、MCバトルの審査員を長年務め、黎明期から現在に至るまで多くの才能あるMCたちの成長を見守り、シーンの活性化に貢献してきました。

ジャーナリストとしての最大の功績の一つは、前述の通り、才能あるアーティストをキャリアの初期段階で発掘し、その魅力をメディアを通じて広く紹介したことです。HIP HOPに限らず、THA BLUE HERB、SEEDA、m-floといったアーティストたちのブレイクに、彼の手によるメディア露出が一役買った例は少なくありません。国内外のトップアーティストたちへの豊富な取材実績も持ち、深い洞察に基づいた記事やレビューを数多くの媒体に寄稿してきました。

取材実績のあるアーティストは国内外にわたり、一部を抜粋すると以下のようになります。

国内: DJ KRUSH, THA BLUE HERB, ZEEBRA, 宇多田ヒカル, MISIA, m-flo, 倖田來未, 韻シスト, ラッパ我リヤ, SEEDA, TOKONA-X など多数。
海外: africa bambaataa, JAY-Z, MISSY ELLIOT, THE ROOTS, BLACK EYED PEAS, BOYST II MEN など多数。

執筆活動は1995年から継続して行われており、活動初期には講談社『Hot Dog Press』、日之出出版『Fine』、シンコーミュージック『Woofin‘』といった雑誌で記事を執筆。また、集英社『MEN'S NON-NO』、学研『GET ON!』、ワニブックス『COOL TRANS』など、多様な媒体で連載を持っていました。特に、音楽専門誌では『WOOFIN'』『RIDDIM』『LUIRE』、ストリート系雑誌では『Fine』『HOT DOG PRESS』『MEN'S NON-NO』など、数多くの雑誌に寄稿しています。近年では、2025年1月より老舗自動車雑誌『ベストカー』にて、ドライブに最適な音楽を紹介する新連載『音魂（おとだま）』を開始するなど、ジャンルを超えた活動を展開しています。

さらに、選曲家としても積極的に活動しており、音楽ストリーミングサービスSpotifyでは、「Cafe de Worikin' Beach」というテーマで自身の選曲プレイリストを公開し、多くの音楽リスナーから支持を集めています。

現在

ジャーナリスト、選曲家としての活動に加え、ビジネス分野にもその手腕を発揮しており、現在はOZ CorporationのChief Development Officerを兼務しています。X（旧Twitter）などのSNSを通じた情報発信も行っており、常にシーンとの接点を保ちながら活動を続けています。彼の情熱と専門性は、今後も日本の音楽・ストリートカルチャーシーンにおいて重要な役割を果たしていくことでしょう。

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