株券

株券とは

株券（かぶけん）は、株式会社の株主が保有する株式を示す有価証券です。株主はこの株券を通じて、その企業の所有権の一部を持つことになります。

株券の実体

株券の作成方法には、証券印刷会社に依頼して作る場合と、市販の株券用紙を使って、必要事項を自ら記入する場合があります。大企業では通常、専門の印刷会社に発注しますが、小規模な企業ではコストを抑えるために後者を選択することが多いです。しかし多くの企業は株券不所持制度を利用し、実際には株券を発行せずに管理しています。

特に、株式の譲渡に制限がある企業の場合、株券を発行しないことが違法であっても行われることがあります。2009年に株券が電子化されるまでは、株式の取引には実物の株券が必要でしたが、偽造や変造を防ぐために発行に関して厳格な管理体制が設けられていました。これらは、高度な技術を持つ印刷会社でのみ行われる規定です。

有価証券としての株券の側面

株券は証券という観点から見ると、以下の三つの異なる特性を持つことが説明できます。

1. 物的証券: 株主は残余財産の分配請求権を持ち、これは株式が会社の資産を分割したものとして考えられるため、物的証券となります。
2. 利潤証券: 配当を受け取る権利も株主に与えられることから、株式は利益を生み出す利潤証券とも言えます。理論的な株価には将来の配当が反映されています。
3. 支配証券: 株主は株式を通じて会社の経営に参加する権利（議決権）も持つため、支配証券としての側面もあります。

日本の会社法における株券の位置づけ

2003年に導入された株券不発行制度では、株式会社は定款に明記されていない限り、株券を発行する義務がありません。これにより、証券取引所に上場する企業は2009年から一斉にこの制度に移行しました。これにより、従来の紙の株券は電子取引に変わりました。名義書き換えを怠っていた場合、2009年以前の株券は権利を失うことになります。

また、株券を発行する企業では、株式の発行日から遅延なく株券を発行する義務がありますが、公開企業でない場合は、株主からの請求があるまで株券を発行しないことが可能です。

株券に記載が必要な事項

株券には会社の商号、株数、株券の番号、株式の種類、及び代表取締役の署名などの情報が求められます。

株式の譲渡と名義書換

株式の譲渡は、株券を交付することによって行われ、株券を持つ者が法的な所持者と推定されます。会社は、正当な理由がない限り名義書換を拒むことができず、紛失した場合は善意の第三者に取得されるリスクも存在します。株主名簿への登録が不可欠で、登記を怠るとトラブルの原因となることがありますが、電子化によってこれらの手続きが大幅に効率化されています。

株券喪失の取り扱い

従来の株券の紛失や盗難に対する対策として、株券喪失登録制度が2005年に導入されています。この制度では、株券を紛失した株主が権利を回復する手続きを行うことが可能ですが、円滑な権利の移転には依然として課題が残されています。

結局、株券は単なる証券以上のものであり、企業の経済活動の一部として重要な役割を果たしています。

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