株式仲買店員

株式仲買店員（かぶしきなかがいてんいん）

「株式仲買店員」は、イギリスの著名な作家アーサー・コナン・ドイルによる短編小説で、シャーロック・ホームズシリーズの一つです。この作品は、全56篇ある短編の中で16番目に発表され、1893年3月にはイギリスの「ストランド・マガジン」で公開されました。また、アメリカの「ハーパーズ・ウィークリー」にも同年3月11日に掲載されました。さらに、同年発行の短編小説集『シャーロック・ホームズの思い出』に収められています。

あらすじ

物語は、ワトスンが結婚した後の時期に起こります。時代背景は、1888年または1889年ごろと考えられています。主人公である株式仲買人のパイクロフトは、勤め先の倒産により、新たな職を探さなければなりません。モーソン商会に転職の話が進んでいましたが、思いがけずバーミンガムにある別の会社から営業支配人としてのオファーが舞い込みます。しかし、その会社は実態の乏しい小さな事務所で、社員はパイクロフトただ一人だけでした。

何か不審な点を感じたパイクロフトは、オファーを出した男とその会社の社長が同一人物ではないかという疑念を抱きます。そこで、彼は名探偵シャーロック・ホームズに真相の調査を依頼しました。

この会社の社長であるピンナーは、パイクロフトに入社の誓約書を書かせた後、自分がモーソン商会とトラブルを抱えているため、拒否の手紙は送らないように求めます。ところが、パイクロフトに与えられた仕事は、人名録から金物業者の名前をせっせと書き写すだけのものでした。数日間かけて得た結果を提出すると、次に書き写すように指示されたのは、家具商の名前でした。

その後、ホームズとワトスンはパイクロフトの友人という設定でピンナーと会うことに決めます。彼らが事務所を訪れると、ピンナーは恐怖に怯えた様子で、少し話した後に奥の部屋に引っ込んでしまいます。そして、その部屋からは大きな物音が聞こえ、ホームズたちがすぐに飛び込むと、ピンナーは自分の首を吊ろうとしているところでした。

事件の真相

ここから事件の真相が明らかになります。実はピンナーは他の男と結託し、その男がモーソン商会でパイクロフトの身代わりで働いていたのです。彼がパイクロフトに書かせた誓約書は、彼の筆跡を模倣するためのものでした。パイクロフトが仕事を始めるための手続きはモーソン商会からの通知がない限り、行うことができないというものでした。この計画の最終的な目的は、モーソン商会に保管されている証券類を盗むことだったのです。

商会が休業する土曜の午後に、偽のパイクロフトは証券を盗み出しましたが、見つかって逮捕されてしまいます。さらに、彼はその際に警備員を殺害するという事件を引き起こしていました。この一連の出来事を知ったピンナーは、自らの罪の意識から自殺を試みたのです。

このようにして、シャーロック・ホームズはまた一つの迷宮入りした事件を解決しました。物語は、巧妙な詐欺と探偵による真相究明の過程を描いており、読者に緊張感と興味を与えます。

外部リンク

• - 青空文庫 - 株式仲買店員（新字新仮名版）
• - 青空文庫 - 株式仲買人（新字新仮名・改訳）

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