核小体

核小体は、真核生物の細胞核内に観察される、rRNAの転写とリボソームの組み立てという重要な役割を担う構造体です。光学顕微鏡でも確認できるほどの大きさ（直径1〜3μm程度）を持ち、仁や核仁とも呼ばれます。しかし、核小体は生体膜で区切られた明確な構造体ではありません。

特に、細胞が活発に成長している時期や、機能が活発な細胞において、核小体は顕著に発達します。細胞周期が進むにつれて、核小体は前期に一旦消失し、核分裂の準備に入ります。その後、rDNAからの転写が再開されるとともに、再び形成されます。

電子顕微鏡で核小体を観察すると、その内部はいくつかの異なる領域に分かれていることがわかります。主要な構成要素としては、以下の3つが挙げられます。

繊維状中心部 (FC): 核小体の中心に位置する領域
高密度繊維状部 (DFC): 繊維状中心部を取り囲むように存在する領域
* 顆粒部 (GC): 核小体の周辺部に位置する領域

rRNAの転写とプロセシングは、主に繊維状中心部と高密度繊維状部で行われると考えられていますが、その詳細なメカニズムについては、まだ議論の余地が残されています。

rDNAからRNAポリメラーゼIによって転写されたrRNA前駆体は、snoRNAなどの働きによってプロセシングを受け、18S、5.8S、28S rRNA（高等動物の場合）といった成熟したrRNAへと変換されます。真核生物のリボソームRNAは、これらのrRNAに加え、RNAポリメラーゼIIIによって転写された5S rRNAを含みます。これらのrRNAとリボソームタンパク質が結合して形成されたリボソームは、核膜孔を通って細胞質へと輸送され、タンパク質合成の場として機能します。

近年では、核小体が核と細胞質の間で行われる物質輸送において重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります。核小体は、単にリボソームを生成する場であるだけでなく、細胞全体の機能調節にも関与している可能性が示唆されています。

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