核戦争防止国際医師会議

核戦争防止国際医師会議（IPPNW）について

核戦争防止国際医師会議、略してIPPNW（International Physicians for the Prevention of Nuclear War）は、医療従事者の立場から核戦争を防ぐことを目的とした国際組織です。この団体は1980年に設立され、アメリカのマサチューセッツ州モールデンに本部を持ち、各国に支部があります。特に日本支部の事務局は広島県医師会内に置かれています。

この組織は、米国のバーナード・ラウン博士とソ連のエフゲニー・チャゾフ医師が提唱し、両国の医師たちによる協力活動から始まりました。以降、IPPNWは隔年で世界会議や地域会議を開催し、現在では83か国から約20万人の医師が参加しています。また、1985年にはその功績が認められノーベル平和賞を受賞しました。

組織の成り立ちと活動

IPPNWの設立は、1960年代の冷戦期、大気圏核実験による放射性物質の影響を懸念する医師たちの声から始まりました。1961年にはボストンの医師たちによって「医師団（PSR）」が結成され、その後、バーナード・ラウン博士が1980年代初頭に米ソの医師同士による核戦争防止の取り組みを提案しました。1980年の2月には、アメリカにおいて医学と核戦争に関連する大会が初めて開かれ、アメリカとソ連の医学団体の設立を呼びかける公開書簡が政府に送られました。

1980年12月、スイスのジュネーヴでの会議により正式にIPPNWが誕生し、1981年には初の世界会議が開催されました。この会議には12カ国から80人の医師が参加し、その後も活動は拡大し続けます。特に1988年の8回目の世界会議では、80カ国以上から2,500人もの医師が集まりました。

賞と評価

その活動ぶりから、IPPNWは1984年にユネスコ平和教育賞を受賞。さらに1985年には、核戦争の危険性に関する正確な情報と理解を広めたことが評価され、ノーベル平和賞も受賞しました。これを代表してラウン博士とチャゾフ医師がノーベル賞を受け取ることとなりました。IPPNWの共同創設者には、米国のエリック・チヴィアン、ハーバート・エイブラムズ、ジェームズ・ミュラーと、ソ連のミハイル・クージンが名を連ねています。

近年の活動

2011年には、チェルノブイリ原子力発電所事故から25年が経過したことを受け、ドイツ支部がその影響に関する報告書を発表しました。また、2011年の福島第一原子力発電所事故の際には、日本政府が定めた子供の被曝基準が高すぎるとして抗議の声を上げ、撤回を求める書簡も送付しています。福島原発事故については、インターネットやビデオメッセージを通じて情報を発信し続けています。

まとめ

核戦争防止国際医師会議（IPPNW）は、医療界から核戦争の危険性を訴え、国際的に活動を展開している重要な組織です。その努力は、医学の専門家としてだけでなく、平和を求める市民としての声としても、今後も重要な役割を果たしていくことでしょう。

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