桂壽一

桂壽一（かつら じゅいち）は、1902年6月16日に東京で生まれ、1985年11月20日に亡くなった日本の哲学者です。彼の専門は西欧近世哲学であり、特にルネ・デカルトを中心とした哲学研究で知られています。

人物

桂壽一は東京で生まれ、1926年に東京帝国大学を卒業しました。その後、旧制新潟高等学校の教授を経て、戦後には東京大学教養学部の教授に就任しました。1953年には文学部哲学科の教授となり、文学部長も務めました。1963年に東京大学を定年退官した後、中央大学の教授に就任しました。1965年には、その学術的功績が認められ、日本学士院の会員に選ばれました。彼の研究の中心は、デカルトをはじめとする近世初期の哲学でした。

研究内容

桂壽一の研究は、デカルトの哲学を深く掘り下げ、その思想の発展を詳細に追究したことに特徴があります。彼の著作は、デカルトの思想を単に解説するだけでなく、その哲学的意義を現代的な視点から捉え直す試みとして評価されています。また、スピノザの哲学研究においても、独自の視点からの解釈を提示し、日本の哲学研究に新たな地平を開きました。さらに、近世主体主義の発展と限界というテーマにも取り組み、哲学史における重要な問題を考察しました。

著作

桂壽一は、数多くの著作を世に送り出しました。主な著書には以下のようなものがあります。

『デカルト哲学研究』（1944年）
『デカルト哲学の発展』（1948年）
『西洋近世哲学史 第1』（1951年）
『スピノザの哲学』（1956年）
『デカルト哲学とその発展』（1966年）
『哲学概説』（1974年）
『近世主体主義の発展と限界』（1974年）
『懐かしの哲学者』（1979年）

これらの著作は、彼の哲学研究の成果を示すとともに、日本の哲学研究における重要な文献として、今日でも広く読まれています。

翻訳

桂壽一は、翻訳者としても活躍しました。特に、デカルトの『哲学原理』やベーコンの『[ノヴム・オルガヌム]』の翻訳は、日本の哲学研究に大きな影響を与えました。また、ハルトマンの著作の翻訳も手がけ、ドイツ哲学の紹介にも貢献しました。

ハルトマン『批判的存在論一般は如何にして可能なるか』（1928年）
ルネ・デカルト『哲学原理』（1964年）
* フランシス・ベーコン『[ノヴム・オルガヌム]』（1978年）

桂壽一の遺産

桂壽一は、その生涯を通じて、哲学の研究と教育に尽力しました。彼の著作や翻訳は、日本の哲学研究において重要な基礎となっており、後進の哲学者たちに多大な影響を与え続けています。彼の研究は、デカルト哲学にとどまらず、西洋近世哲学全体に対する深い理解を促し、日本の哲学研究の発展に大きく貢献しました。

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