桂小米

桂小米（かつら こよね）

上方落語の名跡である桂小米には、これまでに合計11代が存在しました。しかし、9代目以前の情報は残念ながら詳細が不明です。最終代となる11代目は2021年に他界しましたが、名跡は現在空いています。

11代目 桂小米の生い立ちとキャリア

11代目桂小米、本名は潮 邦雄、1950年9月22日に鳥取県西伯郡に生まれました。彼は大学を卒業後、1969年に桂米朝に入門し、当初は「桂すずめ」を名乗ります。この名前の由来は「米を食いに来た」というユーモラスな発想に由来しています。

初舞台は同年の8月、東山安井金比羅会館で行われた「桂米朝落語研究会」にて『東の旅 発端』を披露しました。当初は緊張のあまり言葉を詰まらせることもありましたが、緊張を軽減しながらも落語の技術を磨いていきました。

言葉と訛りの克服

彼が最初に習得したネタは『宿屋町』でしたが、鳥取弁の訛りを克服するのに苦労しました。この問題を解決するために、文楽を趣味としてみたり、兄弟子や師匠の米朝の家族からの指摘を受けることで徐々に訛りを改善しました。

逆に、田舎の言葉を活かした噺ができることは、彼にとって大きな武器となりました。2代目桂枝雀から受けたアドバイスを参考にしながら、鳥取弁を用いた落語を展開していきました。

1974年の襲名

11代目桂小米は1974年1月1日に襲名しました。先代の桂小米が桂枝雀を名乗るようになったため空いた名跡を引き継ぐ形になりました。彼は出身地が米子であったため、この襲名が決まったのです。実際、名跡は大変重要であったため、当初は襲名に対して前向きではありませんでしたが、周囲の熱意を受けて襲名することとなりました。

高座の裏で

米朝の弟子として、彼は米朝が関わる大きなホールでの独演会において、ネタ選びに際して多くの影響を受けました。自身が演じたいネタも米朝の演目の中に加え、舞台袖でその演技を学んでいったのです。

健康問題と晩年

しかし、11代目桂小米は演者としての活動を続ける一方で、2011年に喉頭がんが発覚しました。約10年間の闘病生活を送った後、彼は2021年4月26日、70歳で亡くなりました。

人物の面白み

内弟子時代、小米は周囲が万年床をしている中で「新しく来た弟子は布団をあげる」という評判を得ました。また、彼の故郷での食事情は面白いもので、実家は農家であり、肉は祭りの時のみ自宅で飼っている鶏を食べるスタイルでした。このため、彼は入門までハンバーグを見たことがなく、その初対面の際には驚きがあったとされています。

また、小米は酒豪としても知られ、米朝と共に飲み友達としての関係が強かったです。入門から晩年まで、常に酒を持ち帰る習慣がありましたが、酩酊による失敗談も多く、タクシーの道案内を頼まれた際には寝込んでしまったこともありました。

結び

桂小米は、上方落語の名跡を背負った噺家であり、多くの人々に笑いを届け続けました。彼の人生や作品を通じて体感した様々なエピソードが、上方落語という文化にさらなる深みを与えています。彼の貢献は今後も語り継がれるでしょう。

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