桂早之助

桂早之助：幕末を駆け抜けた剣士

桂早之助（かつら はやのすけ）は、天保12年（1841年）に生まれ、慶応4年（1868年）に没した、幕末の京都見廻組隊士です。彼は小太刀の達人として名を馳せ、坂本龍馬暗殺の実行犯の一人であるという説があります。

生涯

早之助は京都所司代組同心の家に生まれました。元服後の諱は利義。17歳で西岡是心流を修め、その卓越した小太刀の腕前で知られるようになります。その後、京都の文武場で剣術世話心得（助教授）として後進の指導にあたりました。

元治元年（1864年）、将軍徳川家茂の上覧心得試合に京都所司代の代表として出場。講武所の剣客を次々と打ち破り、家茂から白銀5枚を授かるという栄誉に浴しました。この実績が認められ、慶応3年（1867年）2月には、一橋慶喜による軍制改革に伴い、京都所司代組同心から京都見廻組へと配置換えとなります。同年7月には肝煎（小隊長）に昇進し、組織内での地位を確立しました。

慶応3年（1867年）11月15日、京都見廻組は与頭・佐々木只三郎を筆頭に、早之助、渡辺吉太郎、今井信郎らと共に、京都の醤油商・近江屋に滞在していた坂本龍馬と中岡慎太郎を襲撃し、暗殺を実行したとされています（[[近江屋事件]]）。この事件における彼の役割は、歴史の中で様々な議論を呼んでいます。

慶応4年（1868年）1月3日に勃発した鳥羽・伏見の戦いにおいて、京都見廻組は幕府軍の一員として参戦します。しかし、翌4日、早之助は下鳥羽で左股に銃弾を受け、戦死しました。同志たちは彼の遺体を戸板に乗せて大坂まで運び、真田丸の跡地に建立された心眼寺に、同じく戦死した渡辺吉太郎と共に埋葬しました。彼の戒名は徳元院大誉忠愛義貫居士です。

現在、京都市東山区にある霊山歴史館には、早之助が龍馬を斬った際に使用したとされる刀「越後守包貞」（ただし偽銘）が展示されています。これは、彼が歴史に名を残す剣士であったことを物語る貴重な資料となっています。

桂早之助は、幕末という激動の時代を駆け抜けた人物でした。剣の腕前は確かで、組織内でも重要な地位を占めていましたが、[[近江屋事件]]への関与など、その行動は賛否両論を呼んでいます。彼の生涯は、幕末の複雑な政治情勢と、それに翻弄された人々の姿を今に伝えるものと言えるでしょう。

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