桂金吾・花園愛子

桂金吾・花園愛子

桂金吾・花園愛子は、戦前から戦中にかけて活動した夫婦漫才コンビであり、日本の演芸界において特に重要な存在でした。彼らの活躍の時代背景や芸風、そして悲劇的な最期について掘り下げていきましょう。

来歴

桂金吾は1899年に京都で生まれました。彼は落語家である三代目春風亭柳好の弟子として修行を重ね、その後、演芸界へと進出しました。一方、花園愛子、彼女の本名は稲田ミサは、1906年に鹿児島県肝属郡大根占町（現・錦江町）に生まれました。二人は名古屋で知り合い、コンビを結成しましたが、結成時期は不明です。

彼らが共演するようになったのは、吉本興業の専属として活動し、主に浅草の寄席を中心に漫才を披露していた時期です。桂金吾は、落語の要素を取り入れた軽快なスタイルで知られ、一方の花園愛子は、情緒豊かな歌と三味線の演奏が得意でした。彼らの芸風は観客に愛され、特に戦時中の厳しい時代において、笑いで人々を安らげる役割を果たしていました。

戦時中の慰問活動

1941年6月、桂金吾は吉本興業が中心となり、奇術師や浪曲師、物まね芸人などを含む演芸慰問団を結成しました。団は中国北支那（河南省）に向かい、戦地の兵士たちを慰問する活動を行いました。この慰問活動は、戦時中の芸人たちにとっても特別なものであり、多くの芸人たちが集った時期でした。

しかし、その活動の中で悲劇が起こります。1941年7月22日、慰問団のトラックが移動している際、中国軍の砲撃に遭遇しました。その際、花園愛子が先頭車両に乗っていて戦死しました。彼女はその時、数えで36歳でした。愛子の死は当時の日本社会に大きな衝撃を与えました。

死とその後

花園愛子の死後、桂金吾は慰問を続けましたが、活動が終わると東京に帰りました。彼の帰還は多くの関係者によって歓迎され、8月には東條英機夫人が参列した告別式も行われました。また、9月には、当時の帝都漫才協会主催による葬儀も執り行われ、そこで勲八等が贈られるなど、彼女の業績が称賛されたのです。

さらに、愛子は1965年4月21日に靖国神社に合祀され、漫才師としては唯一の合祀者となりました。彼女の遺児である娘・稲田トシ子は、後に六代目古今亭志ん馬と結婚し、新たな芸人の系譜を築いていきます。

桂金吾のその後

桂金吾は花園愛子の死後、ショックを受けつつも引退し、静岡県の伊東市に移り住みました。彼は晩年まで創作活動を続けることはありませんでしたが、漫才コンビとしての歴史は今なお語り継がれています。彼の影響力は後世にも波及し、多くの漫才師たちに受け継がれていることは間違いありません。

メンバー

• - 桂 金吾

1899年2月9日生まれ、1981年8月18日死去。本名は稲田清治郎。

• - 花園 愛子

1906年3月15日生まれ、1941年7月22日死去。本名は稲田ミサ。

彼らの貴重な業績は、今日の日本の漫才文化に多大な影響を及ぼしています。この歴史的なコンビの存在は、演芸界において忘れてはならないものです。

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