桃井直詮

桃井直詮：室町時代の武将と幸若舞の創始者

桃井直詮（もものい なおあき/なおあきら）は、室町時代中期の武将であり、文化人として知られています。特に、日本の伝統芸能である幸若舞の創始者として名高い人物ですが、その生涯には多くの謎が残されています。

生涯と出自

桃井直詮は、桃井直和の子として誕生しました。生年は1403年とされていますが、確証はなく、諸説が存在します。父・直和が没したのは直詮が10歳頃と推測されるため、1390年代前半の生まれの可能性も考えられます。父を早くに亡くした直詮は、越前国へと赴き、比叡山の光林坊詮信のもとで声明を学びました。この修行経験が、後の幸若舞創出に繋がったと考えられています。

声明の学習を経て、直詮は平曲に舞を合わせた独自の芸能を創り上げました。それが、後の世に幸若舞として発展していくことになります。その後、後小松天皇、後花園天皇に仕え、宮廷でも活躍したと伝えられています。晩年には越前国の朝倉孝景に仕え、3000貫の所領を与えられて過ごしたとされます。没年は1480年とされていますが、こちらも諸説あり、確かなところは分かっていません。

幸若舞創始への関与

直詮は幸若舞の創始者として広く知られていますが、この点についても疑問が残ります。幸若舞が桃井直詮の幼名である「幸若丸」に由来すると言われるようになったのは、彼の死後100年近く経ってからのことです。そのため、直詮が本当に幸若舞の創始者であったのか、あるいは後世による創作の可能性も考慮する必要があります。高木茂氏の研究なども参考に、更なる検証が必要な点です。

肖像画

桃井直詮の肖像画が現存しています。土佐光信の作と伝えられるこの肖像画は、直詮が折烏帽子をかぶり、扇を持ち、直垂に松喰鶴や亀の絵柄をまとっている様子を描いています。絨毯のような敷物を敷いている点も当時の肖像画としては珍しい特徴です。東京国立博物館に所蔵されており、当時の服装や文化を知る上で貴重な資料となっています。

未解明な点

桃井直詮の生涯には、多くの未解明な点が残されています。生没年、幸若舞創始への関与の真偽、さらにはその活動の詳細など、歴史的資料の不足から、様々な憶測や解釈が生まれています。今後の研究によって、これらの謎が解き明かされることを期待したいところです。彼の生きた時代背景や、彼が築いた文化遺産を深く理解するためには、更なる調査と研究が不可欠と言えるでしょう。

まとめ

桃井直詮は、室町時代の武将であり、文化人として、そして幸若舞の創始者として記憶される人物です。しかし、その生涯には未解明な部分が多く、歴史研究の対象として注目を集めています。彼の生きた時代や文化、そして幸若舞という芸能芸術の成立過程を知る上で、桃井直詮の研究は極めて重要な意味を持つと言えるでしょう。

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