桐生火葬場事件

桐生火葬場事件

桐生火葬場事件は、1933年に群馬県桐生市で発生した衝撃的な事件で、当時の社会に大きな波紋を広げました。この事件は、元火葬人である松井勘次郎が数多くの遺体から脳漿や金歯を盗み出し、売却していたという内容で、当時は「昭和聖代の大不祥事件」「世界的グロ事件」として広く報道されました。

事件の経緯

松井勘次郎は、桐生市の私営火葬場に勤務していた火葬人です。彼は過去に詐欺罪で三度の有罪判決を受けており、非常に問題の多い人物でした。当時の松井は連れ子の母親と内妻として暮らし、豪遊したりしていたようです。しかし、火葬場が桐生市による直営に移行したことに伴い、松井は1933年3月末に解雇され、新任の火葬人が職務を引き継ぐまでの間、臨時職員として火葬場に残ることになりました。

事件の発覚は、1933年4月14日に火葬場の近くで見つかった白骨死体によって始まりました。警察により松井は疑われ、翌日には彼自身が複数の死体を埋めたことを自供しました。その後の発掘作業で38体の死体が見つかり、さらに85体が発見されたことで、その影響力は計り知れないものとなります。

これらの遺骨は死後5年から6年経過していたことが確認され、驚くべきことに20体は子供のものでありました。また、西郷山公園での目黒貰い子殺人事件と関連付けられる可能性も取りざたされましたが、解剖の結果、被害者たちは病死であったことが明らかになっています。

松井の供述と共犯者

松井は自らの行為について、ある程度のチップを得るために死体を完全に焼かずに半焼の状態にして埋めたという供述を残しています。また遺体から金歯を抜き取ることや、迷信から依頼された脳漿の摘出を行い、その収益を得ていたと考えられています。この事実を受けて、1933年4月17日には桐生市の市長が辞表を提出する事態にまで及びました。

さらに、調査が進む中で、松井の共犯者として私営時代の火葬場の経営者である山本興静も摘発され、彼は燃料の節約のために遺体を完全に焼かずに残していたと証言しました。この急報により、松井と共謀して死体を扱っていた関係者が複数明らかになっていきました。

社会的影響とその後

桐生火葬場事件は、日本国内における火葬のあり方や遺体処理に関する法律と倫理についての議論を引き起こしました。この事件をきっかけに、他の地域でも類似の事件が相次いで発覚し、結果として火葬場に対する監視が強化されることとなります。

1933年には三重県や埼玉県でも遺体から脳みそが抜き取られる事件が発表され、国民の関心を集めました。最終的には、発覚した火葬場は閉鎖され、1935年には新しい火葬場が建設され、慰霊祭も催されることとなりました。この事件は、葬送業界に対する信頼を大きく揺るがし、その後の制度改革に影響を与えました。

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