桑原富雄

桑原富雄は、1923年（大正12年）5月26日に愛媛県西条市本町で生まれた日本の政治家です。西条農業学校（現在の愛媛県立西条農業高等学校）を卒業後、旧西条市の職員となり、助役を経て、後に西条市長として市政を長く担いました。

1947年（昭和22年）6月に西条市役所に入庁した桑原氏は、1970年（昭和45年）5月に市役所を退職するまで、開発部長や総務部長といった重要な役職を歴任しました。その後、1970年（昭和45年）5月からは西条市助役を務め、1972年（昭和47年）1月までその職にありました。

1979年（昭和54年）12月18日、当時の現職であった伊藤一氏を破り、西条市長選挙に初当選を果たしました。以後、1995年（平成7年）12月17日に任期満了で退任するまでの16年間、連続して4期（13代から16代）にわたり西条市の舵取りを任されました。

市長退任後、1996年（平成8年）4月29日には、長年の地方自治への貢献が認められ、勲四等瑞宝章を受章しました。さらに、1998年（平成10年）12月18日には、その功績を称えられ、西条市名誉市民の称号が贈られました。

西条市長としての在任中、桑原氏の最大の功績の一つに、東部臨海地域における土地造成を通じた企業誘致が挙げられます。これにより、電機、機械、食品飲料などの有力企業が多数進出し、愛媛県東部における工業都市としての西条市の地位を確立し、経済的な発展の強固な基盤を築き上げました。

また、西条市が「水の都」として知られる特性を生かし、市中心部での親水公園整備や公共下水道網の拡充を積極的に推進しました。さらに、市民の憩いの場である「市民の森」や西条運動公園、「こどもの国」といったレクリエーション施設の整備、さらには刑務所跡地を活用した文化会館の設置など、市民の生活環境を豊かにするための都市施設の整備・拡充にも力を尽くしました。

都市基盤の強化においても、松山自動車道の開通に向けた取り組みや、主要幹線道路の整備など、広範囲なインフラ整備に奔走し、市の交通アクセス向上と機能強化に貢献しました。

晩年は、2010年（平成22年）2月7日に、心不全のため西条市内の病院で86歳で逝去しました。その死没日をもって、正五位に叙せられました。桑原富雄氏は、市長として長期にわたり西条市の発展に貢献し、その功績は今なお市民に語り継がれています。

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