桑原輪中

桑原輪中（くわばらわじゅう）

桑原輪中は岐阜県南西部、特に木曽三川下流部に位置していた特異な地形の輪中です。この地域は羽島市の南部にあたり、東には木曽川、西には長良川が流れる地点に形成されています。桑原輪中は、約10キロメートルの南北と4キロメートルの東西を持ち、面積は1950ヘクタールにも及ぶと言われています。地勢的には、土砂が多く流入する木曽川側が堤防として高く、桑原川による排水経路が中央を流れています。

さらに、桑原輪中の南には小藪輪中という内郭輪中が存在し、複合的な輪中群を形成しています。しかし、明治時代の治水工事により、小薮村は東西に分断され、一部が高須輪中に吸収され、飛地が生じました。

今日、羽島市には桑原輪中のほかに、逆川を挟んで近接する足近輪中や正木輪中、大浦輪中などの他の輪中も含まれており、これらは歴史的に密接な関係があります。特に足近輪中は別名として「坂井輪中」と称されることもあるなど、地域の文献により様々な表現がなされています。

地理

桑原輪中は、木曽川の流れを受けて生まれた地域で、周囲には高須輪中や福束輪中が位置しており、輪中同士の関連性が深いのが特徴的です。地形的には、桑原川等の堤防を境にして複数の輪中が形成されており、地歴と地形の相互作用が見られます。

歴史

桑原輪中の地名は、古代からの居住の痕跡があり、木曽川の流れの変遷を経て、その形成が進化しました。特に1586年の大洪水は、この地域の地形に多大な影響を及ぼし、以後の河道が定まりました。1610年には「御囲堤」が完成したことで水害の問題が顕在化し、その後の農地開発が促進されました。

桑原輪中自身が形成されたのは、1656年頃と考えられていますが、他の輪中との関係を考慮すると、様々な時期の形成が見られます。1754年には宝暦治水が行われ、さまざまな背景から水管理の重要性が増しました。この治水工事は、内部の水路整備や堤防の設置を通じて現在の輪中の基盤を築いたと言えるでしょう。

明治以降の変遷

明治時代に入ると、桑原輪中の治水条件は一層厳しくなり、1883年には水利活動が活発化しました。1887年から1912年にかけて行われた木曽三川分流工事により、重要な河道改修が施され、桑原輪中の形状も大きく変化しました。この工事で新たに構築された堤防や水路は、この地域の治水環境を改善しました。

一方、水防共同体の形成も進み、大浦輪中は独自の水防体制を確立したほか、足近輪中と正木輪中が合同することで、新しい水害防止組織が誕生しました。

現在の状況

1931年には逆川が木曽川と長良川から完全に切り離され、現在ではその形状を知ることが困難になっていますが、桑原輪中は今日も地元の歴史と文化に重要な役割を果たしています。その過程で培われた地域共同体の意識は、今後の治水や地域振興にも大きな影響を与えることでしょう。このように桑原輪中は、歴史的な背景や地形、地域社会の特色を反映し続けている存在なのです。

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