桜橋 (金沢市)

桜橋：金沢の歴史と文化が息づく場所

桜橋は、石川県金沢市を流れる犀川に架かる橋で、金沢市道、通称「本多通り」の一部を構成しています。犀川の中流部に位置し、兼六園から徒歩約15分というアクセスの良さも魅力です。橋の左岸には寺町台地が迫り、桜橋からはW坂と桜坂という二つの坂道が繋がっています。

W坂（ダブルざか）と桜坂

W坂は、かつて「石伐坂（いしきりざか）」と呼ばれていました。明治時代に旧制第四高等学校（現在の金沢大学）の学生たちが、その形状から「W坂」と呼ぶようになったとされています。坂の上には石工職人が多く住んでいたことが名前の由来です。台地をほぼ垂直に登るその形状は、まさにアルファベットの「W」を横にしたよう。井上靖の自伝的小説「北の海」で紹介されたことで、広く知られるようになりました。坂の中腹には井上靖の文学碑が建立されています。

W坂の読み方には少し歴史があります。本来は「ダブリュー」と読むべきですが、いつの頃からか「ダブル」と誤って読まれるようになり、現在では「ダブルざか」という呼び方が一般的になっています。作家の上野千鶴子は、高校時代を金沢で過ごした際にこの坂をよく利用したことから、作品中ではあえて「ダブリュー」坂とルビを振って紹介しています。

一方、桜坂は、桜橋から犀川沿いに川上に向かって伸びる坂道です。藩政時代には桜が植えられていたことが名前の由来とされています。作家の曾野綾子は、戦時中に金沢へ疎開していた際、金沢第二高等女学校への通学路として桜坂を自転車で往復したと語っています。近年、桜橋詰交差点から寺町５丁目へ通じる道路が新たに整備され、「新桜坂」として親しまれています。

周辺情報

桜橋周辺には、W坂（石伐坂）や桜坂の他にも、歴史的な寺院が集まる寺町界隈、遊学館高等学校、石川県立工業高等学校、北陸放送などがあります。これらのスポットを巡ることで、金沢の歴史、文化、そして自然を深く感じることができるでしょう。

桜橋は、単なる橋としての役割だけでなく、金沢の歴史や文化を今に伝える、重要なランドマークと言えるでしょう。

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