桜流し

「桜流し（さくらながし）」

宇多田ヒカルの楽曲「桜流し」は、2012年11月17日にデジタル配信が開始され、その年の12月26日にはDVDシングルとしてもリリースされました。本作は、彼女にとってオリジナル楽曲としては初めての配信限定シングルとなります。さらに、彼女が「人間活動」として音楽活動を休止して以来、初めて発表したシングルでもあり、大きな注目を集めました。

背景と制作

「桜流し」という楽曲は、映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの第3作目である『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の主題歌を担当するために書き下ろされました。宇多田は2010年から音楽活動を休止しており、その間に『ヱヴァンゲリヲン』の新作が制作されることが決まったことから、映画スタッフからの熱心なオファーを受けて新曲の制作に取り組むことになりました。彼女は映画の台本をほとんど読まず、自身の思いを歌詞に込めることに注力したと語っています。

作詞、作曲は宇多田が手掛け、イギリス在住のソングライターであるポール・カーターとの共同作業によって完成しました。宇多田はこの楽曲を2011年9月から手掛け始め、約1年をかけて仕上げたと述べています。

リリースと初公開

「桜流し」は、2012年11月17日にEMIミュージック・ジャパンから配信され、その日は映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の公開日でもありました。配信の開始と同時に、多くのファンが期待する中で、その詳細が解禁されました。この日の午前0時、宇多田のスタッフがTwitterで発表を行い、楽曲は映画のエンディングテーマとして使用されることが明らかになりました。

また、特設サイトが立ち上げられ、そこで感想を募集するハッシュタグも展開されました。ミュージックビデオは河瀬直美によって制作され、日本の自然や人々の生活をテーマにした映像と共に公開されました。

楽曲の特徴とテーマ

「桜流し」は、ピアノとストリングスを基にしたバラードで、後半にはエレキギターの盛り上がりやダイナミックなドラムが加わることで感情をさらに高める構成となっています。この曲は、東日本大震災を踏まえて書かれたとされ、多くの人々が共鳴するフレーズが繰り返されています。

歌詞には「Everybody finds love In the end」という一節があり、これは人々が最後に愛を見つけるというテーマが込められています。批評家たちは、この曲を通じて宇多田が持つ祈りや信念の強さを表現していると評価しています。

チャート成績と評価

楽曲は配信開始から間もなく、iTunesトップソングチャートで1位を獲得し、初速としては宇多田の作品の中でも最速の記録となりました。Billboard Japan Hot 100でも高評価を得ており、特にアニメファンの間で人気を博しました。

また、PVは11月17日から公開され、3日間で350万回再生されるなど、その期待度の高さを反映しています。オリジナルアルバム『Fantôme』にも収録されることが決まり、さらなる注目を集めました。

まとめ

「桜流し」は単なる楽曲以上のものを持っており、宇多田が大切に思うテーマを丁寧に表現した作品です。彼女が音楽活動を再開する際、本作の成功は大きな一歩となりました。多くのリスナーに強い印象を残す一曲であることは間違いありません。

もう一度検索