桧瑛司

桧瑛司

桧瑛司（ひのき えいじ、1923年3月7日 - 1996年1月10日）は、昭和から平成にかけて活躍した舞踊家です。徳島県鳴門市に生まれ、早稲田大学文学部を卒業後、舞踊の世界へ身を投じました。彼の活動は、単なる舞踊の表現に留まらず、阿波、すなわち徳島県の民俗芸能の研究と普及に大きく貢献しました。

舞踊家としての活動

1948年（昭和23年）に桧瑛司創作舞踊研究所を設立し、後進の育成に尽力しました。現代舞踊協会四国支部長を務め、四国地方の舞踊文化の発展に貢献しました。また、民俗芸能集団である阿波三郎座を主宰し、阿波の伝統的な芸能を舞台で披露し、その魅力を広く伝えました。

阿波の民俗芸能研究

桧瑛司は、徳島民謡協会の会長も務め、徳島県文化財保護審議委員や民俗芸能学会会員としても活動しました。これらの活動を通じて、阿波の民俗芸能の調査、研究、保存に力を注ぎました。彼の研究は、阿波の文化遺産を後世に伝える上で重要な役割を果たしました。

受賞歴

長年の活動が認められ、文部大臣賞地域文化功労賞（1984年）や徳島県文化賞（1989年）など、数々の賞を受賞しました。これらの受賞は、彼の地域文化への貢献を高く評価するものです。

著書

桧瑛司は、舞踊家としての活動の傍ら、数多くの著書を執筆しました。これらの著書を通じて、阿波の民俗芸能や文化を一般の人々にもわかりやすく解説し、その魅力を伝えました。主な著書として以下のようなものがあります。

『鳴門・ふるさとの芸能』（鳴門市教育委員会、1974年）
『男と女のうた 阿波の民謠より』（南海ブックス、1978年）
『阿波の狸の子守歌 あそびとわらべ歌』（井上書房、1984年）
『珠玉の歌 巻の壱～参』（桧瑛司、1986年～1988年）
『恋歌 阿波からのメッセージ』（あわわ、1988年）
『私の阿波手帖』（桧小舎、1989年）
『ふるさと芸能組曲』（海南町文化創生の会、1993年）
『阿波の絵本 ふるさとの歌を訪ねて』（阿波三郎座、1993年）

これらの著書は、阿波の民俗芸能や文化を研究する上で貴重な資料となっています。また、皆川学 編『徳島県民俗芸能誌』（錦正社、2004年）にも、彼の研究成果が収録されています。

桧瑛司は、舞踊家として、また研究者として、阿波の文化の発展に大きく貢献した人物です。彼の遺した業績は、今後も長く人々に語り継がれることでしょう。

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