棘突起

棘突起（きょくとっき）について

棘突起は、椎骨の後方へ突出した部分であり、解剖学的な構造物です。ラテン語では「Processus spinosus」、英語では「spinous process of vertebra」と呼ばれます。この突起は、第二頚椎（軸椎）から仙椎に至るすべての椎骨に存在しますが、その形状や大きさは椎骨によって異なります。

棘突起の特徴

存在範囲: 第二頚椎から仙椎までの椎骨
触診: 通常、第一頚椎から第六頚椎の棘突起は触診が難しいですが、痩せている人であれば触れる場合があります。
特殊な椎骨: 第一頚椎（環椎）には棘突起が存在せず、代わりに後結節という痕跡的な構造があります。また、第七頚椎の棘突起は特に大きく、首の後ろで容易に触れることができるため、「隆椎」とも呼ばれます。

東洋医学における棘突起の重要性

東洋医学、特に鍼灸においては、棘突起は経穴（ツボ）の位置を特定する上で非常に重要なランドマークとなります。手の太陽小腸経の肩外兪穴や、足の太陽膀胱経と督脈に属する約50の経穴が、棘突起を目安として取穴されます。

古典的な鍼灸の文献では、頚椎や胸椎といった区分けは必ずしも明確ではありませんでした。例えば、「第1椎」「第2椎」といった記述が見られます。現代の標準的な鍼灸専門書では、第1椎を第1胸椎とすることが一般的ですが、古典においては、最も目立つ背骨を第1椎と見なす記述もあり、これを第7頚椎と解釈する方が自然であるという考え方もあります。

関連事項

大椎穴：第七頚椎の棘突起の下に位置する経穴
* 帆 (生物の器官)：生物の背中にある帆のような構造（本記事とは直接的な関連はありません）

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