棘間筋

棘間筋（きょっかんきん）

棘間筋（interspinales muscles）は、脊椎に沿って位置する短背筋群の一つで、特に後頸部の最深層に位置しています。これらの筋肉は、脊椎の安定化と、椎骨間の微細な動きを制御する重要な役割を果たしています。棘間筋は、その位置によって、以下の3つの部分に分けられます。

頭棘間筋
胸棘間筋
頸棘間筋

構造と起始・停止

棘間筋は、頸椎、胸椎、腰椎の棘突起を起始とし、そこから内側上方に向かって走行し、隣接する椎骨の棘突起に付着します。これらの筋肉は比較的小さく、それぞれの椎骨間に位置しているため、脊椎の分節的な安定化に貢献しています。

機能

棘間筋の主な機能は、脊椎の安定化と、椎骨間の微細な動きの制御です。具体的には、以下のような機能が挙げられます。

脊椎の安定化: 棘間筋は、脊椎を安定させ、姿勢を維持するのに役立ちます。特に、立位や座位などの姿勢を維持する際に重要な役割を果たします。
椎骨間の微細な動きの制御: 棘間筋は、椎骨間の微細な動きを制御し、脊椎の柔軟性を保ちます。これにより、身体を曲げたり、ねじったりするなどの動作がスムーズに行えるようになります。
固有受容感覚: 棘間筋には、固有受容感覚を感知する受容器が豊富に存在します。これにより、身体の位置や動きを脳に伝え、バランスを保つための情報をフィードバックします。

臨床的な重要性

棘間筋は、腰痛や頸部痛などの脊椎に関連する痛みの原因となることがあります。筋肉の過緊張や炎症、損傷などが原因で、痛みが生じることがあります。また、姿勢の悪さや長時間の同じ姿勢での作業なども、棘間筋に負担をかけ、痛みを引き起こす可能性があります。

治療

棘間筋が原因で痛みが生じている場合、以下のような治療法が用いられることがあります。

理学療法: 専門家による運動療法やストレッチなどを行い、筋肉の柔軟性を高め、痛みを軽減します。
マッサージ: 筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することで、痛みを軽減します。
薬物療法: 鎮痛剤や筋弛緩剤などを使用し、痛みを緩和します。
注射療法: 痛みが強い場合、局所麻酔薬やステロイドなどを注射し、痛みをブロックします。

関連項目

背中
解剖学/人間の筋肉の一覧

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