森のくまさん (米)

森のくまさん

森のくまさんは、熊本県で育成されたイネの品種です。熊本県農業研究センターで1997年に開発され、2000年6月27日に品種登録されました（登録番号第8123号）。熊本県が独自に開発した初の品種として知られています。

概要

森のくまさんは、コシヒカリとヒノヒカリを交配させて生まれました。熊本県の平坦地域での栽培に適しており、食味の良さが際立っています。開発の過程では、ヒノヒカリとコシヒカリのF1個体にコシヒカリを戻し交配する手法が用いられました。開発系統番号は熊本2号です。

特性

この品種は、出穂期がヒノヒカリよりも1～2日遅い中生種に分類されます。最大の特徴は、その強い粘りと優れた食味です。また、イモチ病に対する抵抗性も持ち合わせています。

名称の由来

名称は一般公募によって決定されました。「森の都熊本で生産された米」という意味が込められており、2万6000通の応募の中から選ばれたのは、ただ1通の「森のくまさん」でした。命名者は、熊本県とは縁のない岩手県の主婦でした。当時、中山間地域向け品種の「熊本3号」も品種登録申請中であり、関係者の間では「森の熊3?」という名前も候補に挙がっていましたが、「熊本3号」は後に「夢いずみ」として品種登録されています。ちなみに「熊本1号」は欠番となっています。

1997年（平成9年）から奨励品種に採用され、熊本県の平野部や鹿本地方を中心に作付けが始まりました。現在では、ヒノヒカリと並ぶ熊本県産米の主要品種となっています。

日本穀物検定協会の食味ランキングでは、2012年産米で最高得点を獲得し、初の1位に輝きました。この結果を受け、一部の店頭では森のくまさんの販売量が約2倍に増加しましたが、多くの農家は2013年時点で販売契約を終えていました。

日本酒への展開

山形県の冨士酒造では、森のくまさんを100%使用した日本酒「栄光冨士 森のくまさん:熊太郎 純米大吟醸 無濾過生原酒」が醸造・販売されています。2016年の熊本地震で被害を受けた熊本城の復旧を支援するため、「熊本城復興祈念」と銘打ち、売上の一部を熊本城の復興のために寄付する活動を継続しています。

後継品種

森のくまさんの後も、品種改良は続けられています。

くまさんの力（2009年）
くまさんの輝き（2018年）

これらの品種も、森のくまさんの優れた特性を受け継いでいます。

外部リンク

* 森のくまさん - くまもとのお米（JAグループ くまもと売れる米づくり推進本部）

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