森和朗

森和朗（もり かずろう）は、1937年に愛知県名古屋市で生まれ、2019年に生涯を閉じた人物です。彼は、NHK（日本放送協会）で長年チーフ・ディレクターとして活躍したほか、文筆家、日本大学芸術学部文芸学科講師としてもその才能を発揮しました。

1960年に名古屋大学経済学部を卒業後、NHKに入局。報道番組の制作に携わり、「NC9（ニュースセンター9時）」、「ニュース展望」、「NHKジャーナル」など、数々の人気番組の制作を主導しました。特に国際局ではチーフ・ディレクターとして、国際的な視点を取り入れた報道番組の制作に貢献しました。

NHK退職後は、日本大学芸術学部文芸学科の講師として教鞭を執り、次世代の育成にも尽力しました。森和朗は、その深い知識と洞察力で、学生たちに多大な影響を与えたとされています。

文筆家としては、哲学、文学、社会批評など、幅広い分野で多くの著作を執筆しました。その作品は、現代社会の構造や人間の心理に深く切り込み、読者に新たな視点を提供しました。

主な著書には以下のようなものがあります。

『たそがれのキッチュ日本 憲法九条に酔い痴れた日本人』（1988年、かや書房）：憲法九条をテーマに、日本の現状を鋭く批評した作品です。
『マルクスと悪霊』（1990年、勁草出版サービスセンター）：マルクス主義思想を独自の視点から分析した作品です。
『ドストエフスキー闇からの啓示』（1993年、中央公論社）：ロシア文学の巨匠ドストエフスキーの作品世界を深く掘り下げた評論です。
『虚仮の島』（1996年、近代文芸社）：独自の視点から社会現象を考察した作品です。
『仮象の迷界 情報によるブラックホール』（1999年、Ｄ文学研究会）：情報化社会における問題点を指摘した作品です。
『神と科学と無 ヨーロッパ哲学を検死する』（2002年、鳥影社）：ヨーロッパ哲学の歴史を検証した作品です。
『吸金鬼ドルキュラの断末魔 マスメディア経済記事の虚と実』（2002年、本の風景社）：マスメディアにおける経済報道の問題点を指摘した作品です。
『自我と仮象 第1部』（2004年、鳥影社）：人間の自我と社会の構造に関する考察を深めた作品です。
『自我と仮象 第2部』（2006年、鳥影社）：『自我と仮象 第1部』の続編です。
『自我と仮象 第3部』（2007年、鳥影社）：『自我と仮象』シリーズの完結編です。

これらの著作からもわかるように、森和朗は、ジャーナリズムの世界で培った知識と経験を基に、現代社会や人間の本質について深く考察し、その成果を多くの人々に伝えようとしました。彼の作品は、今もなお、多くの読者に影響を与え続けています。

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