森広泰昌

森広 泰昌

森広 泰昌（もりひろ やすまさ、1977年12月9日生まれ）は、かつて社会人野球で活躍した右投右打の投手です。NTT北海道の主戦投手として知られ、その野球人生は北海道の高校野球界から社会人野球に至るまで、多くのファンに記憶されています。

アマチュア時代

北海道で育った森広氏は、知内高校に進学し、野球部に入部しました。高校時代からその才能は注目を集め、1年生の秋には早くもチームのベンチ入りを果たします。2年生の春には北海道大会でチームを準優勝に導きましたが、初登板となった東海大四高校との試合では苦い経験もしました。しかし、この経験を糧に、3年生の夏には大きく成長。函館支部予選の決勝戦では、強豪の函館商業高校を相手に、9回二死までノーヒットノーランを継続し、16個の三振を奪う圧巻の投球を見せ、北海道内で屈指の右腕と評されるまでになりました。南北海道大会では、前年に打ち込まれた東海大四高校に対し、わずか3安打に抑え込む完封勝利を挙げ、見事に雪辱を果たしました。また、函館選抜チームのエースとしても、アメリカ代表チームとの親善試合に先発登板し、5回を投げて3失点ながらも11三振を奪うなど、国内外の舞台でその能力を示しました。

高校卒業時には、プロ野球球団からも注目される存在でしたが、ドラフト会議での指名はなく、社会人野球のNTT北海道への入社を選びました。

社会人野球時代

NTT北海道に入団した当初は、高卒投手ということもあり、すぐに多くの登板機会を得られたわけではありませんでした。しかし、1999年にNTTグループの再編が行われ、NTT北海道の主力選手たちがNTT東日本などへ統合されていく中で、チームはクラブチームとして新たなスタートを切ることになります。この変革期において、森広氏は新体制となったNTT北海道のエースとして頭角を現し、チームの屋台骨を支える存在へと成長していきました。

チームが活動を終えるまでの晩年においては、森広氏は文字通りチームの絶対的なエースとして君臨しました。延長戦を投げ抜いた翌日の試合にも平然と先発マウンドに上がるなど、そのタフネスぶりは「鉄腕」と形容されるほどでした。彼の献身的な投球は、多くの困難を乗り越えながら活動を続けたNTT北海道にとって、大きな支えとなりました。

NTT北海道での11年間の在籍期間中に、森広氏は社会人野球の最高峰である都市対抗野球大会の舞台に7度立っています。NTT北海道のメンバーとして4回、そしてチームの枠を超えた補強選手としても3回（サンワード貿易で1回、JR北海道で2回）出場しており、全国の強豪を相手に投げ合いました。

引退とその背景

2006年シーズンをもって、NTT北海道野球部は50年の歴史に幕を下ろしました。森広氏は当時29歳であり、社会人野球選手としては最も充実したプレーを見せることのできる年齢でした。そのため、他のチームへの移籍や現役続行も十分に考えられましたが、本人はこの年限りでの現役引退を決断しました。

引退の背景には、チームの晩節にかけて大黒柱としてマウンドを守り続けたことで、肩やひじに大きな負担がかかっていたことがありました。今後も野球を続けることはできたかもしれませんが、身体の状態を考慮し、クラブチームであっても他の選手やチームに迷惑をかけることになってはいけない、という彼の深い配慮からの決断でした。

主な功績

森広氏はその活躍が認められ、2004年には北海道野球連盟のベストナイン（投手部門）に一度選出されています。これは、彼の長年にわたる安定した投球と、チームへの貢献が高く評価された証と言えるでしょう。

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