森敬明

森敬明（もり ひろあき、1938年 - 2007年3月5日）は、日本のアマチュア天文家であり、特に彗星の捜索において顕著な功績を残しました。岐阜県関市を拠点に、精力的に彗星捜索を続けました。

1975年10月5日、森はわずか1時間14分差で2つの彗星を発見するという驚くべき偉業を成し遂げました。最初に見つかった彗星は、うみへび座に10等級で出現し、佐藤安男（栃木県）、藤川繁久（香川県）も独立して発見したため、「C/1975 T1 森・佐藤・藤川彗星」と命名されました。次いで発見された彗星は、おおぐま座に9等級で出現し、鈴木繁道（愛知県）、三枝義一（山梨県）も発見者として名を連ねたため、「C/1975 T2 鈴木・三枝・森彗星」と命名されました。

1夜に2個の彗星を発見したアマチュア天文家は、世界でも森敬明ただ一人であり、これは特筆すべき記録です。この功績が認められ、1976年には日本天文学会天体発見功労賞を受賞しました。

森は教育者としても活動し、岐阜県の高等学校で教鞭を執り、天文部の顧問として生徒たちの指導にあたりました。学校に設置された46cm反射望遠鏡を用いた実習を通して、生徒たちの天文学への興味を育みました。

その後も彗星捜索への情熱は衰えず、1984年11月13日には31cm反射望遠鏡を用いて12等級の「C/1984 V1 レビー・ルデンコ彗星」を発見しました。また、1992年4月2日にはニコンの12cm20倍双眼鏡を用いて9等級の「C/1992 F1 田中・マックホルツ彗星」を発見しました。これらの彗星は独立発見となりましたが、発見報告の遅れから命名には至りませんでした。

森敬明は、アマチュア天文家として彗星捜索に情熱を注ぎ、数々の彗星を発見しただけでなく、後進の育成にも尽力しました。彼の功績は、日本の天文学史に深く刻まれています。

著書

私の新彗星発見記: P.43~58、誠文堂新光社(1979年12月)
UFOの謎 : 五個の彗星を発見したアマチュア天文愛好家が書いた(1993年9月)

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