森本正治

和食界の異端児、森本正治氏の軌跡

森本正治氏（1955年生まれ）は、世界的に活躍する和食料理人です。1999年まで放送された人気料理番組『料理の鉄人』では三代目「和の鉄人」として、その名を広く知らしめました。広島県広島市出身の森本氏は、高校時代は野球に打ち込む野球少年でした。プロ野球選手を夢見ていましたが、寿司職人への道を選びます。しかし、就職した寿司店は洋食メニューも提供する多様な店だったため、当初の期待とは異なる経験となりました。それでも、この経験は後に彼の創作料理に大きな影響を与えたと言われています。

その後、夫婦で喫茶店を経営するも成功せず、1985年にはアメリカ合衆国へ渡ります。ニューヨークで寿司職人として経験を積み、ソニー本社ビルの役員専用ダイニングで腕を振るった後、1993年には、著名な料理人、松久信幸氏との出会いにより、ロバート・デ・ニーロ氏らと共同経営する日本料理レストラン「NOBU」の開店に携わります。

「NOBU」では、森本氏は実質的な総料理長として、独創的な創作和食を提供。その斬新な料理は高い評価を受け、ニューヨーク・タイムズの料理記者からも絶賛されました。ニューヨークで名を馳せた森本氏は、『料理の鉄人』のプロデューサーの目に留まり、1998年、和の鉄人として番組に出演することとなります。

伝統的な日本料理の世界において、森本氏の革新的なスタイルは当初大きな反発を招きました。しかし、「アメリカ仕込み、ニューヨーク仕込みの和食」をコンセプトに、独創的な創作料理の数々、例えば「納豆のコーラ煮デザート」などを発表し、大きな話題を呼びました。その挑戦的な姿勢と高い料理の技術は、多くの視聴者の心を掴みました。

『料理の鉄人』出演後も、森本氏の活躍は止まりません。2001年にはフィラデルフィアに自身のレストラン「MORIMOTO」を開店。さらに、アメリカで放送されている料理番組『アイアン・シェフ・アメリカ』でも鉄人を務めるなど、アメリカでの知名度を飛躍的に高めました。2005年には六本木に「restaurant morimoto XEX」、2010年にはナパに「Morimoto Napa」を開店するなど、積極的に事業を拡大しました。

2011年には、アメリカの人気ドラマ『Hawaii Five-0』に本人役で出演し、歌声を披露するなど、多方面での活躍を見せています。現在では、ニューヨーク、フィラデルフィア、ハワイ、インドなど世界各国に7店舗を展開し、年商は5000万ドル（約42億円）に上ります。

森本氏の活躍は、アメリカのみならず国際社会にまで広がり、2012年には、内閣府から世界で活躍し『日本』を発信する日本人の一人に選ばれました。これは、彼の料理を通して世界に日本の文化を発信し続けてきた功績が認められた証です。

数々のテレビ番組にも出演し、その料理や人生観、そして世界に羽ばたく和食への情熱を語っています。彼の成功物語は、料理人の枠を超え、挑戦を続けることの大切さを教えてくれる、まさに現代のロールモデルと言えるでしょう。彼の今後の活躍にも期待が高まります。

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