森林環境税

森林環境税について

森林環境税は、日本の森林環境を保護し、整備を促進するために課される税金です。この税は、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律（平成31年3月29日法律第3号）に基づき、地方自治体である市町村及び都道府県が実施する施策を支援する財源として活用されます。具体的には、個人住民税の均等割に追加される形で課税されます。この法律自体は国税ですが、実際の徴収は各市町村が行うため、納税者にとっては身近な存在として感じられます。

納税義務者

森林環境税の納税義務者は、日本国内に住む個人であり、一定の所得基準を満たしていない場合は、課税対象外となります。具体的には、合計所得金額が政令で定められた額以下のなかで、未成年者、寡婦（または寡夫）、障害者が含まれ、これらの条件を満たす場合には、この税金の支払いが免除されます。いわゆる非課税基準は、個人住民税の均等割が適用されない基準に同じく設けられています。実際に課税されるのは、個人住民税の均等割が課せられる人々のみです。

税率と納付方法

森林環境税の税率は年間1000円に設定されています。この税金は、住所がある市町村の個人住民税均等割として、既存の市民税の賦課徴収に合わせて納付されます。これによって、納税者にとっては事実上、住民税の均等割が1000円引き上げられる形となります。

課税の開始と目的

森林環境税は、令和6年度（2024年度）から実施される予定であり、これは復興税に代わる形で導入されます。その目的は、森林の維持及び整備を進めるための経済的支援を提供し、地域の森林環境を持続可能なものにすることです。

森林環境譲与税とその活用

森林環境譲与税は、地域の森林整備に直接使われる税制であり、これを活用して新たに導入される森林経営管理制度があります。この制度では、森林所有者からの委託を受けた市町村や事業者が、管理されていない森林の整備を行います。これにより、手入れがされていなかった小規模な森林や境界が不明な森林に対する整備が可能となり、多面的な機能の持続向上に寄与することが期待されています。特に水源涵養や防災機能の強化が図られる見通しです。

課題と現状

一方で、森林環境譲与税制度の導入以降、交付金が自治体に配布されているにもかかわらず、その具体的な活用方法が明示されていないため、多くの自治体が有効に活用できていないという問題も指摘されています。2022年の調査では、過去3年間に配分された840億円のうち395億円が利用されず、基金として積み立てられた結果が報告されました。また、配分基準は森林面積や人口などに基づいているため、人口が多い都市部に多くの資金が配分される傾向にあり、実際に森林を管理することが難しい都市部では活用されにくいという現実も抱えています。灘区のように森林が存在しない地域でも資金が交付されるケースが見られ、地域における森林に対する理解が不足していることが問題視されています。林野庁は、税制改正の必要性を訴えており、今後の議論の動向に注目が集まっています。

• ---

参考文献

• - 【外部リンク】

- 森林環境税及び森林環境譲与税について - 総務省
- 森林環境税及び森林環境譲与税 - 林野庁
- 森林を活かすしくみ 森林環境税・森林環境譲与税 - 林野庁

もう一度検索