森正武

森正武：日本の数値解析を牽引した数学者

森正武氏（1937年8月26日-2017年2月24日）は、日本の数学界において、特に数値解析と応用数学の分野で卓越した業績を残した数学者です。東京大学、京都大学、筑波大学など日本の名門大学で教鞭をとり、数々の国際的な賞を受賞しました。その研究と教育活動は、日本の数学の発展に大きく貢献しました。

輝かしい経歴

森氏は東京で生まれ、東京大学工学部応用物理学科を卒業後、同大学院に進学。その後、京都大学数理解析研究所、筑波大学電子・情報工学系と、日本の主要な研究機関で研究と教育に携わりました。1990年には、国際数学者会議で招待講演を行うなど、国際的にも高い評価を得ていました。

京都大学数理解析研究所所長や日本応用数理学会会長を歴任したほか、東京電機大学教授も務めるなど、その活躍は多岐に渡ります。2001年には、筑波大学と京都大学から名誉教授の称号を授与され、その功績が広く認められました。さらに、2016年には瑞宝中綬章を受章しました。

多大な研究業績

森氏の研究は、数値解析の分野に大きなインパクトを与えました。特に以下の業績は広く知られています。

二重指数関数型数値積分公式（DE公式）： 高精度な数値積分を可能にする画期的な公式です。
指数関数のパデ近似： 指数関数を多項式で近似する手法であり、様々な応用分野で利用されています。
有限要素法によるStefan問題の数値解法： 複雑な現象を数値的に解くための重要な手法です。
離散変分法： 数値計算において、問題の構造を維持しながら計算を行うための手法です。
* 常微分方程式の数値解法： 様々な常微分方程式を解くための効率的な数値解法を開発しました。

これらの研究成果は、工学、物理学、情報科学など、多くの分野に応用され、現代社会の発展に貢献しています。

教育者としての貢献

森氏は、優れた研究者であると同時に、熱心な教育者でもありました。数多くの学生を指導し、多くの優秀な数学者を育成しました。彼によって書かれた教科書や専門書は、日本の数学教育に大きな影響を与えました。代表的な著書として、『数値解析』、『有限要素法とその応用』、『FORTRAN77数値計算プログラミング』などがあります。これらの書籍は、現在でも多くの学生や研究者によって活用されています。

国際的な活動

森氏の活動は国内にとどまらず、国際的にも広く展開されました。ニューヨーク大学クーラント研究所での研究員経験や、大連理工大学での客座教授などを務め、海外の研究者との交流も積極的に行いました。また、国際学術雑誌の編集者も務め、国際的な数学界に貢献しました。

数学への貢献とその後

森正武氏の生涯は、日本の数学、特に数値解析の発展に多大な貢献をした数学者としての輝かしい軌跡でした。彼の研究成果、教育活動、そして国際的な活動は、後進の研究者たちに大きな影響を与え続け、日本の数学界に不滅の足跡を残しました。彼の功績は、今後も数学の発展に貢献し続けるでしょう。 彼の功績を称える追悼特集が複数作成されていることからも、その影響力の大きさが伺えます。

もう一度検索