森脇勝

森脇勝（もりわき まさる）は、1942年7月23日生まれの日本の元裁判官です。東京都出身で、都立日比谷高校を経て、1966年に東京大学法学部を卒業しました。同年、司法修習20期を修了し、裁判官としてのキャリアをスタートさせました。

裁判官としての経歴

森脇氏は、神戸地方裁判所判事などを経て、1981年に宮崎地方裁判所延岡支部・宮崎家庭裁判所同支部長判事に就任しました。1984年には、土呂久鉱害訴訟で原告側全面勝訴の判決を下し、その名前は広く知られるようになりました。この裁判は、鉱害による被害者の救済を求める重要な判決として、司法史に残るものとなりました。

その後、法務省のいわゆる「赤レンガ組」として、行政訟務第二課長、総務課長、大臣官房参事官などを歴任しました。1992年には大臣官房審議官、1996年には訟務局長、1997年には民事局長に就任し、法務行政の中枢で活躍しました。

1998年6月には東京高等裁判所判事に転じ、2000年には総括判事となりました。2004年からは名古屋地方裁判所所長を務め、2007年3月に退官しました。退官後は、法務省難民審査参与員として、難民認定に関する審査に携わっています。

主な判決

森脇氏が裁判長を務めた主な裁判には、以下のようなものがあります。

銀行税訴訟: 2003年1月30日、石原慎太郎東京都知事らが導入した大手銀行に対する外形標準課税（銀行税）をめぐり、税率負担が不公平で高すぎるとして、東京都側の敗訴判決を下しました。この判決は、一審に続き東京都の敗訴となり、1628億円の返還を命じるものでしたが、税制度の導入自体は合憲と判断し、導入過程における東京都の過失は否定しました。この裁判は、地方自治体の税制と企業の負担に関する重要な判例となりました。

医療過誤訴訟: 2000年8月31日、重い脳障害を負った男児の両親が日本赤十字社に損害賠償を求めた医療過誤訴訟の控訴審で、一審の東京地方裁判所の判決を覆し、9900万円の支払いを命じた一審判決を取り消しました。この判決は、医療過誤訴訟における責任範囲について、重要な判断を示しました。

これらの判決は、森脇氏の裁判官としての卓越した能力と、法と正義に対する強い信念を示すものです。森脇氏は、行政訴訟や民事訴訟など、幅広い分野で重要な裁判に携わり、日本の司法の発展に大きく貢献しました。彼の功績は、裁判官としての模範であると同時に、日本の法曹界にとって重要な遺産と言えるでしょう。

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