森護

森 護 - 日本の紋章学者

森護（もり まもる、1923年10月6日 - 2000年）は、日本における紋章学の権威として知られ、西洋紋章学や英国の王室史を深く研究した学者です。彼は大阪港紋章の制作に関与し、その際の指導者として大阪市から評価されています。

経歴

森護は奈良県に生まれ、1946年に早稲田大学商学部を卒業後、同年にNHKに入社しました。NHKでは、政治部記者や神戸放送局の放送部長、国際局報道主管などを歴任し、1980年には定年退職しました。その後は、文教大学の講師として教鞭を執りながら、文筆活動にも取り組みました。これを機に彼は多くの著作を残し、広く知られるようになりました。

大阪港紋章の制作

森護が特に注目を集めたのは大阪港紋章の制作に関与したことで、このプロジェクトは1979年に始まりました。当時、大阪港は多くの港湾都市と友好関係を築くために紋章を交換する慣習がありましたが、独自の紋章を持っていなかったため、として市章と錨を組み合わせた簡易的なマークを使用していました。しかし、このシンボルでは、大阪港の伝統的な価値を十分に表現できず、しばしば贈られる立派な紋章に圧倒されていました。

そこで、新たに西洋式の紋章を作る必要が生じ、森護に依頼がありました。彼は初めての依頼に対して懸念を抱いていましたが、実際に大阪港の状況を理解する中で、紋章の制作を引き受けることとなりました。約半年の間、森は大阪港紋章に関する指導と監修を行いました。

最初に示された試作にはいくつかの問題がありました。具体的には、金属色の重ね用法やデザインのバランス、言語の選択などが指摘され、これらの改善が求められました。森はモットーをラテン語に改めるなどの提案を行い、最終的なデザインを形成しました。1980年には、フランスのル・アーヴルの港との紋章交換が行われ、完成した紋章は高く評価されました。

特に興味深いのは、紋章のサポーターに描かれた想像上の獣「鵺（ぬえ）」でした。これは西洋では忌み物とされることが多いですが、森はその個性的な姿がかえって新鮮さを与えると考えていました。実際、創造的なデザインはル・アーヴル側からも高く評価され、大阪港紋章は日本でも珍しい成功例となりました。

著作

森護は多作な著者でもあり、彼の代表作は1980年代に集中しています。彼の著書には、『ヨーロッパの紋章』や『英国王室史話』などがあり、これらは紋章学に関する貴重な資料として現在でも広く読まれています。没後も再刊が続き、彼の知識と洞察は後世に受け継がれています。

まとめ

森護は、日本の紋章学界において重要な人物であり、大阪港紋章の制作を通じて新たなスタンダードを築きました。彼の研究は、紋章学だけでなく、英国王室史の理解にも大きく寄与するものです。彼の功績は、今日も多くの人々に影響を与え続けています。

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