森隆峰

森 隆峰（もり りゅうほう）は、1961年8月16日に愛知県で生まれた元プロ野球選手です。捕手として右投右打でプレーしました。

高校時代は、野球留学で富山県の高岡第一高校に進学しました。1年生の夏には、県大会準決勝を突破し、甲子園出場をかけた北陸大会の決勝へと駒を進めましたが、当時星稜高校に在籍し、のちにプロ野球界で名を馳せることになる小松辰雄投手に完封されて敗退の涙を飲みました。2年生の秋には、富山県大会で見事優勝を果たしました。続く北信越大会では、準々決勝で鯖江高校の杉永政信選手と対戦し、延長13回という長く厳しい戦いを制しましたが、準決勝で惜しくも敗れ、二度目の甲子園挑戦も叶いませんでした。

高校卒業後の1979年オフ、森選手は兄である森 宝生（もり やすお）投手とともに、ドラフト会議を経ずに西武ライオンズへ入団しました。兄の宝生氏は、隆峰選手より1歳年上でしたが、愛知高校から再入学していたため、隆峰選手が高校3年生の時には公式戦への出場がありませんでした。しかし、卒業の時期が同じだったことから、兄弟揃ってプロ野球選手になるという珍しいケースとなりました。西武ライオンズへの入団においては、日野 茂スカウトが担当を務めました。

プロ入り後の森隆峰選手は、背番号「55」を背負い、1980年と1981年の2シーズン、西武ライオンズに在籍しました。しかし、残念ながらその短いプロキャリアにおいて、一度も一軍の公式戦に出場する機会を得ることはできませんでした。

そして、プロ入りからわずか2年後の1981年オフ、森選手は球団から自由契約選手となることを通告されます。この通告に至る経緯には、森選手にとって大変な衝撃と納得のいかない部分がありました。球団事務所に呼び出された際、森選手は当初、契約を更新するための話し合いがあるものと聞かされていました。しかし、実際に伝えられたのは、球団代表である坂井 保之氏からの突然の解雇の宣告だったのです。予想外の事態に、森選手はその場で坂井代表に対して理由を問い詰め、解雇を受け入れることができない旨を訴えましたが、聞き入れられることはありませんでした。

失意と混乱の中、森選手はチームのコーチであった和田 博美氏を訪ねました。和田コーチもまた、森選手が自由契約になったことを知らされておらず、大変驚いたといいます。和田コーチは森選手の状況を深く案じ、何とか現役を続けさせてあげたいと考え、球団に対して再考を掛け合ったり、他の球団の入団テストを受けられるように積極的に斡旋するなど、森選手の現役続行の道を拓くために多大な尽力をしてくれました。しかし、その甲斐なく、森選手がプロ野球選手としてキャリアを続けることは叶いませんでした。

このように、森隆峰選手のプロ野球選手としての期間は短いものであり、一軍でのプレー機会はありませんでしたが、高校時代には甲子園がかかった重要な試合で活躍するなど、特筆すべき経歴を持ちます。また、兄とともにプロ入りを果たしたエピソードや、自由契約通告時の出来事なども、彼の野球人生の一部として語られています。彼のキャリアに関する詳細な記述は、1983年に三一書房から刊行された岡 邦行氏の著書『江川になれなかった男たち－ドラフト外伝』の128ページから146ページにかけて掲載されています。

森隆峰選手に関連する事柄としては、愛知県出身の人物、埼玉西武ライオンズに在籍した選手、そして兄弟でプロスポーツ選手となった例などが挙げられます。

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