森雄一郎

森 雄一郎

1986年4月8日、岡山県に生まれた森 雄一郎（もり ゆういちろう）は、日本の実業家です。現在は、オンラインを主軸としたカスタムオーダーのアパレルブランド「FABRIC TOKYO」を展開する株式会社FABRIC TOKYOの代表取締役社長を務めています。

生い立ちとファッションへの情熱

「冒険家のように挑戦し続ける人間になってほしい」という父親の願いから命名された森氏は、幼い頃からコンピューターに親しみ、ゲームやグラフィックソフトに熱中する少年でした。電機メーカーに勤めていた父親の影響もあり、自宅にあったパソコンは彼にとって身近な存在であり、中学生になると自作PCを組み立て、複数のBBSサイトを立ち上げて運営するなど、ウェブサイト制作を趣味としていました。

ファッションとは無縁だった彼がこの世界に目覚めたのは、中学生の時。母親が偶然拾ってきたファッション誌を読んだことがきっかけでした。「こんなカッコいい世界があるんだ」という衝撃から、ファッションにのめり込み、その魅力に取り憑かれます。

大学は国立の香川大学工学部に進学。建築士を目指していた時期もありましたが、在学中に趣味が高じてファッション関連のWebメディアを友人とともに立ち上げ、運営に没頭します。当時流行していたSNS「mixi」を情報発信に活用し、パリ・コレクションやニューヨーク・コレクションといった海外のファッションイベントへ自ら足を運び、取材を行うなど、グローバルな活動を展開。招待状がないにもかかわらず、裏口からの入場を試みるなど、その後のキャリアを予感させる行動力と向こう見ずな一面も垣間見せています。この経験を通じて、建築士からファッション分野での独立へとキャリアプランを大きく転換させました。

キャリアの始まりと起業の試練

大学卒業後、森氏はファッションショーの演出を手がける株式会社ドラムカンへ入社を強く志願します。「無給でいいから働かせてほしい」と東京都港区の事務所に飛び込みで門を叩き、アシスタントとしてキャリアの第一歩を踏み出しました。

その後、スタートアップ業界へと転じ、不動産ベンチャーでの事業開発を経て、2012年に自身が25歳の時に株式会社ライフスタイルデザイン（現 株式会社FABRIC TOKYO）を設立し、代表取締役に就任します。しかし、この最初の起業では、ファッション以外の分野（スマートフォン関連の越境ECや価格比較サイトなど）で複数の事業を手がけるも、いずれも短期間での撤退を余儀なくされます。この頃、「一度ファッション業界に足を踏み入れたが、ファッションを嫌いになるまで最悪な想いをした」と、趣味であったファッション以外の分野で起業した理由を後に語っています。

転機とメルカリ創業期での学び

事業が軌道に乗らず苦境に立たされる中、当時から有名だった山田進太郎氏がメルカリ（当時コウゾウ）を立ち上げるという話を聞きつけます。連続起業家である山田氏が次に手がける事業に強い興味を抱き、SNSを通じて本人に直接連絡。自身の会社を一時休眠させ、メルカリの創業期に社会人インターンとしてフルタイムで参画するという異例の行動に出ます。ここでは、フリマアプリの企画立案や、顧客サポート部門の立ち上げなど、スタートアップの最前線で貴重な経験を積みました。

FABRIC TOKYOの誕生と成長

2014年、メルカリでのインターンを終え、自身の会社に籍を戻した森氏は、新しい事業としてカスタムオーダーのファッションレーベル「FABRIC TOKYO」（立ち上げ当初は「LaFabric」）をリリースします。この事業は、彼自身が洋服のサイズに困っていたという原体験に基づいています。オンライン販売を主軸に、体型や好みに合わせてフィットする服を提供するというコンセプトは、多くの消費者に支持されました。

事業立ち上げ後、インキュベイトファンドが主催する「インキュベイトキャンプ」に出場したことが、その後の成長に大きく寄与します。このイベントをきっかけにインキュベイトファンドからの投資を獲得しただけでなく、同イベントに出場していたエアークローゼットの天沼聰氏、スマートキャンプの古橋智史氏、コネヒトの大湯俊介氏、vivitの水谷寿美氏、ウィンクルの武智実氏など、多くのスタートアップ経営者と親交を深めました。また、ICCサミットというスタートアップカンファレンスにおいては、長年にわたりスポンサード活動を通じてコミュニティに貢献しており、SmartHRの宮田昇始氏、おかんの沢木恵太氏とも懇意な関係を築いています。FABRIC TOKYOの事業は着実に成長を遂げ、2019年には売上10億円を超える規模にまで拡大しました。

人物像

森氏は自他ともに認めるファッションとインターネットの愛好家です。幼い頃からPCに触れ、自作やWebサイト制作を趣味とするなど、ITスキルは彼の根幹にあります。そして、中学時代に目覚めたファッションへの情熱は、彼のキャリアと人生を決定づけるものとなりました。パリ・コレクションの裏口から入場を試みたり、シャネルのクリエイティブディレクターであった故・カール・ラガーフェルド氏にインタビューを試みるなど、その行動力はしばしば向こう見ずと評されることもあります。ファッションへの投資も惜しまず、ハイブランドから古着まで、年間数百万円をコンスタントに服に費やしていると語っています。

大学選択の理由として「海が近い」「物価が低い」「実家から遠い」「建築士の資格が取れる」を挙げるなど、合理的な一面を持ちつつも、大学在学中に趣味であったファッション分野での独立を目指すというキャリア変更を選択。一度はファッション以外の分野で起業して失敗するも、最終的にはファッションという自身が心から愛する分野で事業を成功させています。その波乱に富んだキャリアパスは、彼の情熱と挑戦し続ける姿勢を物語っています。

主な活動

NewsPicks プロピッカー
日経COMEMO コラムニスト
FastGrow 連載「D2Cスタートアップ最前線──アフターデジタルにおける小売の再発明」
GLOBIS知見録、グロービス・キャピタル・パートナーズ主催イベント、ICCサミット、Ad:tech tokyoなど、各種カンファレンスに多数登壇。

メディア出演

BS朝日 「Fresh Faces　-アタラシイヒト-」 (2020年7月11日)
TBSラジオ 「INNOVATIVE ACTION」 (2019年7月27日)
THE BRIDGE (雑誌、2018年6月) および note転載記事 (2019年3月)
Startup Hub Tokyo YouTubeチャンネル 「東京起業百景・株式会社FABRIC TOKYO 森雄一郎さん」
Compass by GCP (雑誌、2019年3月)

関連リンク

FABRIC TOKYO公式サイト
森雄一郎 - NewsPicks
ノッポ社長のブランド起業チャンネル - stand.fm
森雄一郎 (@yuichiroM) - X (旧Twitter)
森雄一郎 (@yuichiro007) - Instagram
* 森雄一郎 (yuichiromori) - note

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