植物図鑑 (小説)

植物図鑑

『植物図鑑』は、有川浩によるライト文芸と恋愛小説です。この作品は、2008年から2009年にかけて連載され、2009年6月には正式に刊行されました。特に注目すべきは、この小説が角川書店から出版されたことです。また、イラストにはカスヤナガトが手掛けており、独特な雰囲気を醸し出しています。実際にこの作品は、多くの読者の心をつかむ魅力を持っており、文庫版が幻冬舎からリリースされたのは2013年1月のことでした。

この作品は、読者と書店員が選ぶ「みんなの幻冬舎文庫（書店編）」で第1位に輝き、さらには「第1回ブクログ大賞」において小説部門大賞も受賞しています。累計発行部数は2015年7月時点で80万部を超え、多くの人々に親しまれています。さらに、2016年には岩田剛典と高畑充希が主演を務めた実写映画化もされ、話題を呼びました。

あらすじ

物語の舞台は冬の晩、主人公さやかが仕事から帰宅するところから始まります。マンションの前で行き倒れていた男に出会い、困窮した彼を一晩だけ部屋に迎え入れることになります。男は「イツキ」と名乗り、彼の料理の腕前に驚かされるさやか。次第に彼との奇妙な同居生活が始まります。

春が訪れ、イツキは近くのコンビニでバイトを始め、二人の関係は少しずつ良好になっていきます。さやかは仕事のストレスから荒れていますが、イツキの提案で近所の河川敷を散歩することになり、野草採集を通じて親密さが増していきます。イツキが採った植物を使った料理は、さやかの心を惹きつけ、料理を通じた交流が二人の距離を縮めます。

しかし、さやかはイツキのことをよく知らず、不安も抱えていました。特に、イツキが女性の影を持っているのではないかと疑う場面もあり、二人の関係が複雑化します。ある日、さやかはイツキが渡したハンカチから舞い込んだ嫉妬が原因で、二人の関係はさらにこじれてしまいます。しかし、解決に導くのはさやかの心の告白。イツキも彼女に対する思いを告げ、二人は恋人同士に進展します。

登場人物

• - 河野さやか - 主人公のOL。イツキを見つけて奇妙な同居を始める。料理は苦手だが、イツキの影響で野草に興味を持ち、成長していく。
• - 日下部樹 - 若い男性で、さやかのマンション前で行き倒れていた。料理が得意で、さやかとの関係を大切にしつつも、過去に悩みを抱えている。

終わりに

幸せな日々を送っていた二人ですが、ある日、イツキが突然姿を消します。残されたさやかは彼を忘れられず、気持ちの整理がつかないまま日々を過ごすことになります。約1年後、さやかは再び冬の晩にイツキと再会し、彼の過去や本当の思いを知ることになります。この作品は、植物や自然を通じて描かれる二人の心の成長や再生の物語として、多くの読者の心に残るものとなっています。

もう一度検索