植田和弘

植田和弘について

植田和弘（うえた かずひろ）は、1952年3月14日生まれの日本の経済学者で、環境経済学の分野における先駆者的な存在です。京都大学名誉教授として、長年にわたり研究と教育に携わってきました。彼の専門は環境経済学であり、特に廃棄物問題、リサイクル、再生可能エネルギーといった分野で重要な貢献をしています。

学歴と職歴

植田氏は1975年に京都大学工学部を卒業後、1983年に大阪大学大学院工学研究科で工学博士号を、1997年には京都大学大学院経済学研究科で経済学博士号を取得しました。彼の博士論文はそれぞれ、「金属利用の社会的評価に基づくリサイクル計画に関する基礎的研究：鉛を中心にして」と「廃棄物制御の財政理論」であり、これらのテーマが示すように、早くから環境問題と経済活動の関連に着目していました。

職歴としては、1981年に京都大学経済研究所の助手として研究者のキャリアをスタートさせました。その後、京都大学経済学部助教授、教授を経て、京都大学大学院経済学研究科教授、地球環境学堂教授を歴任しました。2017年に京都大学を定年退職し、現在は名誉教授の称号を持っています。

環境経済学への貢献

植田氏は、日本における環境経済学の草分け的存在として、この分野の発展に大きく貢献しました。彼は、1995年に環境経済・政策学会の設立に尽力し、同会を社会経済システムとしての地球環境問題を研究する中心的な学会に育て上げました。また、2005年から2010年まで同学会の会長を務め、学会の発展に貢献しました。

植田氏は、研究者、教育者としての活動に加えて、「オーガナイザー」としての才能も発揮し、京都大学を環境問題研究の拠点へと成長させました。彼のリーダーシップのもと、多くの研究者や学生が環境問題の研究に取り組み、多岐にわたる成果を上げています。

主な著書

植田氏は、数多くの著書を執筆しており、その多くが環境経済学の分野における重要な文献となっています。主な単著には、『廃棄物とリサイクルの経済学』、『リサイクル社会への途』、『環境経済学』、『環境経済学への招待』、『環境と経済を考える』、『緑のエネルギー原論』などがあります。これらの著書を通じて、環境問題の経済学的側面を広く一般に啓蒙しています。

また、共著や編著も多数あり、環境問題に関する多角的な視点を提供しています。特に、『岩波講座環境経済・政策学』シリーズは、環境経済学の体系的な理解に不可欠な文献として知られています。また、『大震災に学ぶ社会科学』など、社会問題と環境問題の関連を扱った著書も執筆しています。

再生可能エネルギーと政策への関与

植田氏は、再生可能エネルギーの普及にも積極的に関わっており、2012年には再生可能エネルギー固定価格買取制度の調達価格等算定委員会の委員長を務めました。また、2013年には公益財団法人自然エネルギー財団の理事に就任するなど、政策提言にも積極的に取り組んでいます。彼の活動は、持続可能な社会の実現に向けた具体的な政策形成に影響を与えています。

環境経済学の普及と後進育成

植田氏の業績は、環境経済学の研究の発展に貢献しただけでなく、多くの研究者や学生に影響を与えました。彼の著書や論文は、環境問題に関心を持つ人々にとって貴重な情報源であり、教育の現場でも広く活用されています。植田氏の指導を受けた多くの研究者が、現在、環境経済学の分野で活躍しています。

結論

植田和弘は、環境経済学の分野における先駆者として、その研究と教育活動を通じて、環境問題の解決に大きく貢献してきました。彼の業績は、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩であり、今後もその影響は続くと考えられます。

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