検見法

検見法について

検見法（けみほう）は、近世日本において行われた年貢の徴収方法の一つであり、その特色は田畑の収穫高に基づく課税にあります。本来的には「毛見」と呼ばれる作物の生育状態を観察し、そのデータを元に年貢の額を決定する手法でした。この方法は代官が農村に赴き、収穫高のサンプルを取り、その結果に応じて年貢量を調整するプロセスが含まれています。

検見法の実施手順

検見法では、最初に村役人と農民が協力し、作物の出来具合を評価して内見帳と耕地絵図を作成します。その後、代官の部下である手代が、この帳簿を参考にし、村内の数ヶ所で坪刈り（つぼがり）を行ないます。この坪刈りによってサンプルとしての収穫高を計測し、村全体の生産量をおおよそ推定します。この事前の検分を小検見（こけみ）と呼ぶこともあります。小検見の結果をもとに、代官が直接農村を巡回し、再度の坪刈りを実施します。これらの情報を照らし合わせた上で、最終的にその年の年貢高が設定され、この最終的な検見が大検見と称されます。

検見法の問題点

検見法の課題としてまず挙げられるのが、代官やその配下の役人による賄賂や接待の強要があり、これにより課税額が恣意的に操作されるケースが存在したことです。また、検見が行われる間は農作業の停止が求められるため、農民は耕作を行えず、これを「鎌止め」（かまどめ）と呼びます。このため農村の生産活動に大きな影響を与え、特に稲の収穫とその後の作物の植え付けに悪影響を及ぼす恐れがありました。

畝引検見と有毛検見

検見法の一つに「畝引検見」があり、これは耕地の等級に基づいて坪刈りを行い、算出した年貢額が基準に不足する場合は、その不足分に応じて反別を減じる方法です。この方法は、幕藩体制下の寛永年間に成立したとされています。

有毛検見は、検地で算出される地位を無視し、各田畑を個別に坪刈りする方法です。この方式は特に享保の改革の時期に導入され、実際の収穫量に基づいた課税が目的でしたが、農民にとっては結果的に増税となる場合が多かったです。有毛検見により、農業技術の進展や収穫高の上昇に伴って課税額が増加することが懸念されました。

結論

このように、検見法は近世の日本において重要な年貢徴収法として機能していましたが、制度の運用には多くの限界や問題が伴いました。農民に対して負担を強いる一方で、税収の確保を目的としたこの制度は、時代と共に変化していった日本の農業政策の一端を示しています。

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