楠橋高幸

楠橋高幸（くすばし たかゆき）氏は、1950年11月14日に愛媛県で生を受けた元プロ野球選手です。現役時代は内野手、特に遊撃手としてプレーしました。

野球人生の始まりは、地元の名門校である今治西高校でした。高校では守備の要である遊撃手としてチームの中心選手となり、1968年春に開催された第40回選抜高等学校野球大会への出場権を獲得しました。この大会では、初戦で日大三高との対戦に勝利し、一歩前進しましたが、続く2回戦で広陵高校と対戦し、後に大学、社会人野球で活躍する広陵高校のエース、宇根洋介投手の好投の前に打線が沈黙し、惜しくも敗れ去りました。しかし、この高校時代の活躍はプロ野球界のスカウトの注目を集めるには十分でした。

高校卒業を控えた1968年のプロ野球ドラフト会議で、楠橋氏は阪神タイガースから全体の5番目、つまり5位という高い順位で指名を受け、プロの世界へと足を踏み入れることになりました。入団時には「好守好打の遊撃手」として、将来のチームを支える存在になることが期待されていました。

鳴り物入りでプロ入りを果たした楠橋氏でしたが、プロの厳しい競争の壁は厚く、一軍の舞台で活躍する機会に恵まれることは残念ながら多くありませんでした。阪神タイガースには1969年から1974年まで合計6シーズン在籍しましたが、一軍公式戦への出場はわずか2試合にとどまりました。これらの出場も、バットを握って打席に立つのではなく、いずれも代走として途中から出場したものでした。

プロ初出場を記録したのは、入団から2年が経過した1970年10月14日、本拠地である阪神甲子園球場で行われたヤクルトアトムズとの一戦でした。この試合の7回裏、チームの攻撃中に、当時の主力打者であった藤井栄治選手の代走としてグラウンドに送り出され、プロ野球選手としての第一歩を刻みました。しかし、これがプロ野球人生で出場した数少ない試合の一つとなります。その後も一軍での出場機会は訪れず、プロ通算での出場は、この初出場を含め、全て代走としての2試合のみでした。

阪神タイガースでの背番号は、入団1年目の1969年シーズンには「56」を着用していましたが、翌1970年からは「38」に変更され、引退する1974年シーズンまでこの番号を背負い続けました。

結局、期待された通りの活躍をプロの世界で示すことは難しく、楠橋高幸氏は1974年シーズンをもって現役プロ野球選手としてのキャリアに終止符を打ちました。選手生活は短い期間でしたが、プロという最高峰の舞台に立った経験は、彼にとって貴重な財産となったことでしょう。

プロ野球界を離れた後、楠橋氏は野球とは異なる分野で活動を続けています。提供されている情報によれば、引退後は高松グランドカントリークラブのメンバーとなられたということです。新たな環境で第二の人生を歩まれています。

楠橋高幸氏のプロ野球選手としての道のりは、高校時代の輝かしい活躍から始まり、プロ入り後の苦労を経て、短い期間で幕を閉じましたが、彼の名前は愛媛県出身のプロ野球選手として、そして阪神タイガースに在籍した選手として、確かに記録に刻まれています。

もう一度検索